転生者【斎藤利三】武士を辞め、商人になる!(本編完結)「カクヨム視聴者数10万PV突破」

マキシム

奉公人編

第1話:転生

某は斎藤内蔵助利三、いや堅苦しいのは後だ、俺はぶっちゃっけ転生者だ。前世の俺は病気でこの世を去り、気が付いたら戦国時代の美濃国に生まれた。後に俺が本来の美濃斎藤氏の斎藤利賢の息子、斎藤利三だと知った。斎藤利三はあの春日局の実父であり、明智光秀の重臣となり、後に明智光秀が本能寺の変を起こし、一時は天下を取ったが、備中から駆けつけた秀吉に負けて、明智光秀と共に斎藤利三は謀反人の烙印を押され、処刑されたのである


「俺、詰んだやん。」


現在は稲葉良道、後に稲葉一鉄の元で与力をしているが、正直言ってその頑固さにはホトホト呆れていた。一応、俺の嫁さんの父、俺にとっては舅なのだが、俺の意見を無視されるは、実績挙げても冷遇されるはで史実の斎藤利三が稲葉一鉄の下から離れる理由が分かる


「いっそのこと坊さんにでもなろうかな。」


しかし坊さんになっても変わらず仕えることに変わりがない。農民でもなるか、はたまた商人になるか、悩んだあげく、俺は商人になることにした


「よし、商人になろう!」


前世での俺の実家は老舗の和菓子屋を営む商人だ。俺自身も跡取りとして商売の仕事を手伝い、店を任されることがあった。地元に密着した商売なので色々と御贔屓にしてくださる人がいて、俺としても遣り甲斐があった。まぁ、それは置いといて問題は家族だ


「まずは安と離縁しよう。」


正直、一人前の商人になるからには、かなりの苦難な道となるだろう。自分勝手な気もするが、安と離縁した方が幸せだと思う。史実で斎藤利三が謀反人の家臣として残された妻子は不遇の人生を送ることになる。俺の下にいるよりも実父である稲葉一鉄の下にいれば幸せになれると思う。俺は妻に商人になると打ち明けた上で離縁を申し出た。安は最初は驚いたが、静かに聞き入っていた


「旦那様の御覚悟のほどが分かりました。離縁いたしましょう。」


「すまなかった、安。こういう事を言うのも難だが私の事は忘れて幸せになってくれ。」


「・・・・今まで御世話になりました。」


俺は頭を下げて、これまでの事を詫び、今まで尽くしてくれたことを感謝した。その後、俺は実父である斎藤利賢に商人になることや安と離縁したことを告げると・・・・


「この馬鹿息子が!お前など息子でも何でもない!2度と斎藤の性を名乗るな!」


絶縁させられ、2度と敷居を跨ぐなと言われました。うん、分かってたけど、心が痛む。そして主君である織田信長に会い、此度の事を話した上で暇を取る許しを得るよう説得した


「暇を取ることは罷り成らぬ!」


「某は戯れで申しておるのではありませぬ!某は命をかける覚悟にて申しておるのです!」


怒った信長は刀に手をかけると、そこへ明智光秀が待ったをかけた


「お待ちくださりませ!内蔵助殿は、本気で申しておりまする、どうか某に免じてどうか何卒お許しのほどを!」


光秀が必死の説得をすると同時に信長が俺の方を見て・・・・


「利三、もはや二度と武士に戻らぬ覚悟で申しておるのだな!」


「はっ!天地神明にかけて商人の道に邁進してまいります!」


「であるか。そちの好きにせい!」


「ははっ!」


俺は主君、織田信長の許しを得て、1570年に俺は浪人となった。そして明智光秀に見送られる道中、元舅の稲葉良道にばったり会ってしまった


「ふん、貴様のような軟弱者を婿に迎えたのは稲葉家の恥じゃ!」


「・・・・申し訳ありませぬ。」


「お待ちくだされ!稲葉殿、内蔵助殿は既に主君より暇の許しを得ている。稲葉殿は覚悟のほどをどうかお汲み取りのほどを!」


「ふん、ワシの許しを得ずに安を離縁した其奴の覚悟など知ったことではないわ!」


「稲葉殿!」


俺は正直、心が痛む。正直、勝手に離縁した俺の方が悪いし、舅が怒るのも無理はない


「明智殿、もう宜しいです。元を正せば非は某にあるのです。責められても致し方ありませぬ。舅殿、某が気に入らないなら、この場にてお斬りくださりませ。」


「内蔵助殿!」


俺は観念して自分の首を差し出そうとした


「ふん、貴様を斬っても刀の錆びになるだけじゃ!二度とそのツラを見せるな!」


そういうと舅はその場を去っていった。俺と明智光秀に連れられ、国境まで見送ってくれた。明智光秀から選別をもらい、第2の人生を頑張るよう応援をしてくれました


「内蔵助殿、どうか御達者で。」


「ありがとうございます、明智殿もどうかお元気で・・・・」


明智光秀に見送られ、私は一路、堺へと旅立った。道中で山賊やら何やらと出くわしたが、持ち前の智勇で難なく退治することができた。そして無事に堺に到着した


「凄い賑わってるな。」


俺は初めて堺の町に入った途端、その活気に驚かされた。堺の人々は笑顔に溢れ、生き生きと商売をしている。それに明や朝鮮やポルトガルやイスパニアから来た外国人たちも堺の品々を見て回っている。岐阜城下も活気にあふれていたが、堺の方が数倍も活気に満ち溢れていた


「さてと、まずは弟子入りだな。」


商人になる第1歩は、商人に弟子入りする事である。俺は堺の有力者である今井宗久に目を付けた。今井宗久は逸早く織田信長に目をつけ、御用商人になった豪商である。今すぐに会いに行きたいが、旅の疲労を取り、身なりを整えるのが先である。客商売をする上で第1印象が大切なのである。俺は宿を取り、休息を取った。そして身なりを整え、俺は今井宗久の商っている屋敷を訪ねた。今井宗久の屋敷は立派でその権勢を物語っている


「ごめんください!」


「はい。これはこれは御武家様、私は当屋敷の主人、今井宗久でございます。」


おお、堺の大物が俺の目の前に・・・・


「突然、訪ねてきて申し訳ありません。私、元織田家家臣、斎藤利三と申します。実は折り入ってお頼み申したき事がございまして、無礼を承知でお伺いいたしました。」


「はて、元織田家の御武家様が何用で?」


「はい、私は今井様の下で御奉公いたしたいのです。」


「何と!」


「私は武士を辞めて商人になるべく、今井様の下を訪ねてまいりました。どのような雑用も引き受けますので、是非、私を雇ってください!」


今井宗久はいぶかしげに俺を見ると・・・・


「失礼ですが、なぜ武士を辞められてまで、商人になろうと思ったのですか?」


「はい、私は武士として生きるのが、無常を感じ、自由に生きる商人に憧れていました。そのために信長公から暇をもらい、第2の人生を商人として生きたいと思っていました!」


「うむ、貴方の決意は分かった。ではこれより私の下で働くがよい。」


「はい、ありがとうございます!これより私は斎藤利三の名を捨て、ただの内蔵助として御奉公いたします!」


「うむ、内蔵助、私に仕えるからには今後は主従の関係ということになる、時には死を覚悟する命令を出すことになる、それでよいな。」


「はい、望むところでございます!」


「うむ、内蔵助よ、まずは算盤だ。商いをするにもまずは算術を覚えなければやらぬ。」


「はい!」


こうして俺の商人としての第1歩が始まった

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