【其の11】癒しの燕

彼は、ひと回り以上歳下の若い燕である。


大きな年の差があるのに、一緒に過ごす時間は、なぜか居心地が良く気持ちが落ち着く。


互いの存在が癒しを与え合うのだ。


生涯を通して共に年月を重ねられたら…。


思わずそう願ってしまう。


だが、彼の艶やかな背中を見ていると、これから成長していく彼と老いていく自分に隔たりを感じてしまう。


やがて彼は私の元を飛び去ってしまうかもしれない。


彼の残り香を感じるベッドの上で、ひとり空を見つめながら、私はいずれやってくるかもしれない別れの時を思い恐怖に震える。


童謡の『かごめかごめ』の歌詞のように、誰かがやって来て彼を連れ去ってしまうかもしれないのだ。


私は、逃れようのない胸の痛みを押し殺し、燕が飛び立つその時に、涙を流さず笑って見送れるよう覚悟を決める。


熱くなる目頭に気づかぬふりをして、私はそっとまぶたを閉じた。

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