第8話 温泉エリア

ワンニャンパワーを使って 温泉をフィールド内に設置してみた。


これは 循環型設備なので 維持コストは少しで済む。


デザインは ご老人たちの夢をもとにした。


滝を眺める壺湯


川底から水と湯がわき出す千人風呂


渓流のあちこちに設けられた壺湯


紅葉を植えたり イチョウを植えたり 桜を植えたり


少し趣を変えて ススキと萩を植えて見たり 竹林の中にヒノキぶろを作ってみたり


こうして作った温泉に入りに来るのは 夢魔にさそわれたキャッキャうふふの方々だ


スケベパワー ごっつぁんです。

あなた方が発散されたエネルギーでうちのダンジョンに 新たな階層ができました。


○~~~


「あのさ あいつらを脅かしてもいいかな」うちのメンテ要員になったマー君。


彼は 蛇が大好きで 大小さまざな蛇たちを うちのダンジョンで飼育中


「客足が途絶えない程度におどかしてもいいよ」


そこで 集団で長居するお客さん達の前に長さ8Mの網目ニシキへビを出てきたり

小さな蛇集団が現れることになった。


しかし こういうことをすると やっぱりお客さんが来なくなる。


「リア充はぜろ」のマー君の怨念を うちのダンジョンで発揮されては困ると気が付いた。

 

 だったら、「リアルで晴らせぬ恨みを晴らします」お仕置き稼業に替えようとマー君が言い出した。


本来、人間の悪夢を食べて、人に安らぎを役目をもたらす役目を持っている獏ですら 食べたくないと思うようなひどい悪夢に悩まされてる犯罪被害者たち。


その人達の恨みの根源となった悪質犯罪者(おもに性犯罪者と 人を拷問する類の犯罪者たち)を 夢魔たちがここの温泉に誘い込み

大小さまざまな蛇で取り込む。


存分な恐怖を味わわせれば 奴らも2度と犯罪を犯す気がなくなると言うお仕置き


これはけっこうリアルにおける犯罪抑止効果があったのだけど

 マー君の蛇たちが、「怖がらせの道具にするなぁ~」と怒り出したので、攻め方?責め方を変更した。


 ペットの蛇たちは人に怖がられるのではなく 人から愛されたかったのだそうだ。

うーん そういう問題はリアルで解決してほしい。

ダンジョンはあくまでも非現実の世界だからね。


 というわけで 路線変更したマー君とマー君の蛇たちは、一緒に温泉や川に入ろうとして 水温でもめたり、周囲を驚かせたり 相変わらず興奮エネルギーをまきちらかしてくれたが、結局「ダンジョンにいても リアにいてもお互いの暮らしは変わらなかったね」という結論に達してうちに来なくなった。



しかしマー君とマー君の蛇たちのおかげで 何をすれば人間が怖がるか、いかにして人間は自らの想像により恐れおののくのかというデータはたっぷりとれた。


その情報を使って、バーチャルお仕置き部屋を作った。

 そこで たっぷりと恐怖エネルギーを搾り取ることに成功。

 少しはリアルの犯罪抑止に貢献できたのではないかと思う


 そうやって 悪質犯罪者からパワーを搾り取り、ダンジョンバワーを補充できるようにした。


そうして やっと、この温泉エリアも増設して リアルでお疲れの善良な人々の夢の通い路として解放することができるようになった。


もちろん きゃっきうふふ用の温泉と「まったり温泉」は別エリアにしましたよ。


リアルで 悪人たちに悩まされる善良な人々は

わんこダンジョンに来れば、「まったり温泉」で心の洗濯・ゆとりエネルギーを補充できますよ。

 うちとしては儲けがないけど お仕置き部屋から得るエネルギーと

 善良な方々の癒しのための「まったり温泉」の維持費がとんとんならそれでいいの。


善良な人間がここで癒されれば ペットを猫かわいがりして悩ますこともなくなるだろうから。


そして善良なご主人の苦しむ姿を見て 悩むペットもいなくなれば 僕としても満足。


リアルでペット暮らしすると ご主人様関連で精神的に疲れる動物も多いんだから!


動物にとって一番迷惑なのは「アニマルセラピー」に使われる奴隷奉公なんだって知ってた?


だってさぁ 「人間の苦しみを癒す糧になれ」って命じられて、

「そんなしんどいこともう嫌だ~」って叫ぶと それまでの貢献なんかお構いなく廃棄処分にされるのがアニマル犬の運命なんだから!!

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