伍 亀戸二階堂家へ

第28話 平日は日本史学習

 平日の穂香ほのか(大)は、毎日、社会人らしいスーツ姿で柏の葉の三井ハイケミカルへと出社していく。


 わたしの方は、平日はおとなしく日本史を勉強することにした。教材は日曜日に選んだ高校向けの日本史教科書と音声参考書である。部屋着のジャージ姿のままなのはあれだが、教科書を呼んでいると、今の身体に相応しく学生気分に浸るここができる。


 狙いは、わたしの記憶に刻まれたキーワード、サドガタンと人道的ゴールドラッシュプロジェクトの関係についてのヒントを得ることである。先週より、わたしは、佐渡ヶ島金山仮説なるものを考えている。

 つまり、宮古島市とミカ校は、佐渡ヶ島の金山開発が本格的に始まる前の日本に転移した。そして、何らかの人道的見地から、ミカ校生は佐渡ヶ島の金山開発に取り組むこととなった、との仮説。


 もともと、宮古島市は離島の例にもれず、お米や野菜・肉など生活必需品の多くを島外に頼っていた。仮に古代か中世の日本にほんとうに転移してしまっていた場合、必需品をどこから調達するかはすぐに問題となるはず……


 となると、当時の人々と貿易を行うための金山開発なのかしらね?


 可能性を広く考え、わたしは縄文時代から安土桃山時代までの日本史を丁寧にたどっていった。


  ☆


 木曜日の夜、二階堂先輩から、当座の結果が出たとの連絡が入った。

 メッセージには、《結果の伝達は、土曜日に二階堂先輩のご自宅で行いたい、当日の朝にビデオ会議ですり合わせたい》といった旨が記されている。

 

 わたし達は顔を見合わせて、頷きあった。

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