第5話 少女スカジャン姿にイモウト認定
そして、
「ねぇ、
とわたしに言った。
わたしは、「そうね」と同意した。
「ところで、わたしの外見年齢って何歳だと思う?」と聞いてみた。
中高生を卒業して久しいわたしの目には、たぶん中学生は入るか入らないかくらいだろうとしかわからなかった。
「そんなの、身長測れば、分かるじゃないの」
と
なるほど、と納得したわたしは、柱のところに立って背を伸ばした。
メジャーを手にしたまま、
「よし、あなたのことを、
と、わたしを妹分認定して笑った。
わたしは、
「わかった。」
とコクリとうなずいて、設定に同意を示すと、
「それで、お姉ちゃんよ、わたしはどの服を着ていけばいいかな?」
と尋ねた。
「う~ん、イモウトは、私の服はほぼほぼ似合わそうよね」
「そうだよね、お姉ちゃん」
そう、
寝室へと向かった
「これ、どうかな?」
袖のところがコーデュロイな薄ピンクなスカジャン。
「あぁ、
とわたしは、目を見開いた。
身長152cmの
「似合ってるのに」
と言ったわたしに、
「これ着て元カレと歩いてたとき、多かったからね」、と弱く微笑んだ。
あぁ、引越し先に持っていきたくないんだな、と納得したわたしは、きれいに焼かれた美味しいクッキーやなんかと共に、スカジャンを持ち帰った。
中高生の頃に(願わずも)スパルタな生活を送ったわたしには、ちょっと、こここスカジャンは可愛らしすぎるように思えた。以来、スカジャンはクリーニングされたままの状態で、押入れに入ったままだった。
(存在を忘れていたなぁ)
と思いながら、わたしは、
「おお、イモウトよ。さすが13歳。似合ってるよ」
と
わたしの31歳脳のどこかが、ちょい派手可愛い系のスカジャンを着ることに抵抗を感じてはいたが、他に外出の選択肢は思い浮かばない。慣れるしかないだろう。
下も替えた方がいい、
「よしっ、行こう」
と、
エントランスを出て駐輪場に入り、わたし達はそれぞれのチャリちゃんにまたがった。
「チャリちゃん、買い替えたんだ?」
「そうだね」
夜で車通りも少ないので、わたし達は並んでチャリちゃんを走らせた。
「ねぇ、イモウトよ。それで昨日までは何歳だったの?」
そう聞かれたわたしは、反射的に
「26歳」
と答えた。
「・・・そうなんだぁ。半分の年齢になっちゃったわけね」
これからの7年分の記憶があると言ってしまうのはマズいかも、との咄嗟の判断で、わたしの脳内年齢は26歳ということになった。
薄ピンクな少女系スカジャンを着てるけど、もう三十路なんだよ、ということが恥ずかしかったわけではない。たぶん。
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