第15話 金髪碧眼美人さんが盗賊に攫われました1

「おはようございます!」


早朝――。

そう言って金と碧の色彩が元気良く挨拶してきた。

出立しようと階段を降りかけていたマクレーンは、突然目の前に人が現れたのに驚き、危うくまた転びそうになってしまった。

寸での所で踏ん張って難を逃れたマクレーンは、改めて目の前の人物を見た。


「あなたは、昨日の!?」


記憶に新しい顔を見てマクレーンは目を瞠る。


「昨日は、ご迷惑をおかけしてすみませんでした。」


礼儀正しく謝罪してくる相手に、マクレーンも「いえ、こちらこそ。」と頭を深く下げる。

昨日の再現を始めようとする二人に、アランが堪らず声をかけた。


「昨日風呂で会ってさ、どうしてもマクレーンに謝りたいって言うんだよ。」


そう割って入ってきたアランに二人は顔を上げる。


「あ、はいアランさんから今日早くに出発なさると聞いて4時から待ってました。」


「4時!?」


ホテルの壁時計を見上げながら、マクレーンが素っ頓狂な声を上げる。

壁時計の針は6時を指していた。

マクレーンはアランをキッと睨みあげる。


「や、時間まで聞いてなかったから・・・・。」


そんなマクレーンにアランは冷や汗を浮かべながら抗議した。


「いえ、アランさんは悪くないです僕が勝手に待っていただけですから。」


マクレーンとアランのやり取りに、ニコルが慌てて助け舟を出した。

そんなニコルにマクレーンは「すみません」と頭を下げた。


「きちんとご挨拶ができて良かったです、じゃあ僕もう行きますね。」


「はい、お気をつけて。」


「気をつけてな。」


そう言うとニコルは笑顔で去って行った。


「僕達も行きましょう。」


マクレーンはそう言うとホテルを出た。


早朝の凛と澄んだ空気をマクレーンは深く吸い込む。

清清しい気分になりいざ出発、と足を踏み出したところで、遠くの方で小さな悲鳴が聞こえてきた。

マクレーンとアランはお互い顔を見合わせると、急いで悲鳴が聞こえて来た方へ走っていく。

駆けつけた道のど真ん中で金髪の頭が、4~5人の男達に担がれ連れ去られていくのが見えた。


「あれってもしかして・・・・。」


マクレーンは青褪めた顔で呟く。


「人攫い、みたいだな・・・・相手はさっきのあいつか?」


記憶に強く残るあの色彩に、二人は青褪め引き攣る。


「お、追いましょう!」


「お、おう!」


マクレーンは我に返ると言うが早いか走り出した。

それにアランも続き、賊が消えて行った森の中へと駆けていくのであった。

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