第一の死

あの日の朝は暑かった。

その日、俺は外を歩いていた。

そして、2003年の8月26日に死んだ。

あの感覚から、多分車にひかれたと思われる。

自分でも思い出せないほど記憶が

曖昧なのが申し訳ない。


でも俺は死ぬ前から人間ではなかった。

いや、一応人間ではあったのかな。


矛盾してるよな。ほんとに....

俺は死んでからその感覚に気づいたんだ。


なんかさ、この世にあるもの全てに

感情があるって感じかな。

ほら、仮にここにりんごがあるとするだろ。

そのりんごにも感情ってものがあって

そしてりんごを形作る細胞1つひとつにも

感情とか言うのがある感じかな。


ちょっと難しいかもだけど、簡単に言えば、

俺は死んでからひとりの人間ではなくて

ひとりの人間の細胞だったと知ったって感じだ。


最近になって理解したことだが、

人間の体は死ぬ前まで体全体で意識を共有

しているが、魂?と呼ばれるものが無くなったら

本来(俺の場合は細胞)の意識に戻るらしい。


そして、俺は多分体を焼かれている。

きっと、火葬中か。

焼かれて粉々にでもなれば、俺はちゃんと

死ねると思っていた。


でも、俺は人間の感覚を失い、細胞だと知り

そして細胞も粉々になるほど焼かれても尚、

塵となり、まだ生きていたんだ。

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水沢蒼 @mizusawa-aoi

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