猫の耳を持つ少女は仲間のため戦場を舞う『十三支演義 偃月三国伝』
時は後漢末。大陸の山奥にて、ひっそりと暮らしている種族がいました。
「
人間の肉体に猫の耳を持ち、戦闘能力に優れるものの、猫の姿をしていた妖怪「金眼」の末裔として、人間からは忌み嫌われていました。そして、人間は猫族を十二支の物語に出てくる猫になぞらえ、「
隠れ里で身を寄せ合って暮らす猫族は、良好な関係性を築くことが出来ない人間とは関わることなく、幸せに生きています。
ところが、永遠に続くと思われていた平穏は突如破られてしまうのでした。
『十三支演義 偃月三国伝1・2 for Nintendo Switch』
私がプレイしたのは、本編と続編が同時収録されたSwitch移植版です。PSVitaでも全く同じ内容のソフトが出ていますので、持っている端末に合わせて購入して頂くことが可能です。
ただ、Switch版では、本編と続編それぞれに新しくOPとEDが制作されました。もちろん、これまでの主題歌も作品内に収録されています。そのため、どちらかと言えばSwitch版の方が、お得感があるかもしれませんね。私は、続編の新OPが気に入っています。
猫族と人間の間に生まれた混血の少女「
しかし、ある日突然、漢帝国から人間達が里に迷い込んでしまいます。
人間達を束ねていた武将「
関羽は猫族の中でも特に戦闘能力が高く、故に仲間達の命と暮らしを守るため、決して関わりたくなかった人間の戦に出陣する決意をするのでした。
攻略対象は本編と続編で少し差異があり、続編では攻略対象が追加されます。
猫族の長である少年。関羽や張飛とは幼馴染であり、姉弟同然に育ちました。
実年齢は15歳ですが、何故か心身共に幼少期からほぼ変化がありません。しかし、幼いながらも長としての自覚はあり、一族のために判断を下すこともあります。
関羽によく懐いていて、しばしばハグをして甘えています。皆のために身体を張って頑張る関羽の力になりたいと思っているようです。
関羽と劉備の幼馴染。喧嘩っ早くやんちゃで、考えるよりも先に行動するタイプです。そのため、いつも後先考えずに突っ込みかけては、仲間に窘められています。
関羽のことを姉貴と呼び、本当の姉のように慕っていますが、女性として意識しているようです。しかし、関羽には弟扱いされてしまい、悔しさを滲ませることも多々。
そうは言っても、関羽を大切に思う気持ちは人一倍で、戦う関羽が無事でいられるように、自らも戦場で奮闘します。
幽州を統治する太守、
大剣を武器とした豪胆な戦い方が得意。馬術にも優れ、騎馬部隊を率いることもあります。
最前線で戦う関羽に武人として敬意を示しながらも、無理をしていないかと心配します。
大陸全土を支配するという野望を持つ武将。戦闘能力が高く、戦闘能力に優れた猫族すら単独で圧倒します。
己の野望を叶えるため、猫族を自らの勢力に徴兵します。特に、関羽の戦闘能力や心意気を気に入ったようで、関羽に強く執着するようになります。
武将としての才覚に優れ、多くの武人から畏怖と敬意を集めています。
曹操の配下である武将。主である曹操のことを心から尊敬しています。猫族が大嫌いで、戦で手柄を上げる関羽に対してきつく当たります。これは、固定観念に囚われがちという欠点が出てしまっているだけで、武人としてはとても有能な人物です。
戦では、従弟であり、弟分でもある
当代最強の武将とされる
ただし、この態度は戦闘においても変わりません。呂布の命令とあらば、笑顔で容赦なく人を殺します。呂布の命令は、彼にとって絶対なのです。
以下の2名は続編でのみ攻略可能な追加キャラクターです。本編には登場しませんので、ご注意下さい。
荊州で関羽達と出会った天才軍師。劉備の心に惹かれるものがあったのか、猫族と行動を共にするように。劉備の願いを叶えるため、合理的かつ的確な戦略を授けます。
劉備に対して過保護で合理性よりも情を重んじる関羽とは反りが合わず、意見が対立することもしばしば。
呉の武将で、猫族である青年。荊州で生まれ育った最後の猫族で、幼少期に両親を喪ってから逞しく生き延びてきました。武将の仕事だけでなく、呉の君主を継いで日が浅い
初めて出会った同族の女の子である関羽に惹かれ、積極的にアプローチをかけます。大人の色気で関羽を籠絡しようとしますが、いつも逃げられてしまっています。
歴史もの大好きな私ですが、学生時代は日本史一筋でしたので、世界史は必修だった近代史しか触れてきませんでした。そのため、この作品の舞台である、中国の後漢末から三国時代は、完全に初見。話についていけるかと少し不安でしたが、問題はありませんでした。
歴史が好きな方であれば、かなり読みやすく感じると思います。戦況や情勢がこまめに説明されますので、物語に置いていかれることはないでしょう。
また、この作品は主人公が強いという魅力が大きいと思います。
主人公が攻略対象よりも強く描写されることも。誰よりも力強く最前線で長刀を振るい、仲間のために戦います。
そのため、主人公の戦闘シーンでは、戦闘の介入や攻撃のタイミングをプレイヤーが選択するシステムが導入されています。
そんな主人公ですので、心から応援できることでしょう。
シナリオについては、基本はシリアスで、糖度もあり、血もバンバン流れます。戦の合間に紡がれていく恋物語です。ある意味、バランスの良いシナリオと言えるでしょう。
ただ、この作品の恋愛はかなり面白いと思います。あまり言ったらネタバレになってしまいますが、愛の形はそれぞれと言いますか。普通の乙女ゲームではあまり見られない、戦闘ができる女の子だからこその恋愛が見られます。
とあるルートの展開については、もはや「何なのもうこの二人面倒臭すぎか(意訳:二人とも最高だよ大好き)」といった感想を抱きました。
既に過去作をプレイされている方は、誰のルートかお分かりになりますよね?(ただ、ネタバレになりますので、コメント欄で「○○ルートですよね?」みたいな確認はご遠慮願います。「ああ、あのルートか」とニヤニヤして頂けたら嬉しいです)
そして、この作品は、本編と続編の2作品が出ていますが、続編については一般的なFDとは異なります。
一般的なFDは、恋仲や夫婦となった二人のシナリオが描かれますが、この作品における続編では、劉備ルートのハッピーエンド後から各個別ルートに派生していく形を取っています。続編でありながら、主人公と攻略対象がまた一から恋を始めるシナリオとなります。
本編とは違う形で惹かれ合う二人を描く、もう一つの物語といった感じです。
よって、攻略順については、今回は続編がFDの意味合いではないことから、本編と続編の両方を載せてしまおうと思います。
本編は、
趙雲→張飛→張遼→夏侯惇→曹操→劉備
の順で攻略しました。気の赴くままに、気になるキャラから攻略した次第です。しかし、正直今回は順番を間違えた気がします。他のルートのネタバレがあった訳ではありませんが、内容的に後に回した方が良いルートを真っ先にやってしまった感が強かったです。
そのため、おすすめの順番としては、
張飛→張遼→夏侯惇→曹操→趙雲→劉備
を挙げておきます。劉備のシナリオは真相の意味合いも含まれるため、最後が良いです。そして、出来れば趙雲と曹操も終盤に回すと良いかもしれません。また、曹操と夏侯惇は続けて攻略すると、二人の主従の絆が感じられて良いと思います。
そして、続編は
劉備→周瑜→曹操→張飛→諸葛亮→夏侯惇→張遼→趙雲
の順で攻略しました。これもまた気の赴くままに進めました。こちらは、好きなように攻略しても良いと思います。
強いて言うなら、張飛や趙雲のシナリオは終わり方が綺麗なので、最後に回すと後味が良いかもしれません。
最推しは趙雲。推しは周瑜と曹操です。典型的な大人組という名の色気枠にドボンでしたね。私の性癖、いつも通りです。基本、色気枠に弱い人ですので。
正直なところを申し上げれば、最推しは趙雲と周瑜で迷いました。しかし、現実的に考えたら趙雲かなと思って軍配が上がりました。趙雲と周瑜は同じくらい好きなキャラです。
趙雲については、もう本当に旦那に欲しいです。穏やかで肝が据わっていて、豪気なのに気遣い上手。ルートお構いなしに、さりげなく愛情表現をするため、自分のルート以外でも平気でプレイヤーの好感度を爆上げしてくる。もはや罪深いと言っても良い男です。結婚したい攻略対象ですよ、この男は。
周瑜は、典型的なお色気お兄さんですね。セクハラと軽いノリの求愛から始まり、色仕掛けに翻弄されながらも、絶対に落とされるものかと誓ったところで、正直無駄な話ですよ。言動が軽い男ほど実はしんどいという、乙女ゲームあるあるによって、プレイヤーは周瑜という男にドボン、完全に落ちます。
曹操は、ヤバい。これに尽きます。ただただ、ヤバい男です。狂愛が好きな方は沼ります、確実に。終始ラスボス感が溢れているのに、自分のルートだと、何と言いますか……放っておけなくなる。狂気に駆られるシーンも多く、ちょっと待って曹操落ち着いて怖い怖いってなるのに、曹操の本質に触れてしまうと好きになってしまうんですよね。沼が深い男です。
仲間のため戦乱に身を投じる少女が望む、平和な暮らし。
乱世において、少女の願いは叶うのか。
戦乱の世を駆ける少女と、志や野心に生きる男達の姿をご覧になってはいかがでしょうか。
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