絵美というカノジョ
俺は絵美と時々仕事帰りに食事に連れて行っては家まで送りを繰り返した。
この時期仕事が忙しくて、なかなか休みもなかったんだ。
ある日、エリーが騒ぐ
「ちょいちょいちょいっ。和輝さんっあそこに立つレディは何者よ!みんないわく1時間はいるってぇ〜誰かの知り合いかしらぁ」
ん?面接なんて入れてないしな。見に行くと絵美だった。え?スマホには30件もメッセージが入っていた。
『まだ終わらなの?』
『ほんとに仕事?』
『返事して 返事くらい送れるでしょ』
『もう、いい』
『私を捨てるの?』
そして、今会社のガラス扉の向こうに立つのは、虚ろ気な表情を浮かべた絵美だ。
俺は、ゾッとした.....クソババア妻にもゾッとするが、違う意味でだ。
こういうタイプに俺は縁がなかった。幸いにも今までは.....。
「和輝さん!?知り合いですかぁ?んもっ」
このエリーにどうしたの?って聞いてほしいくらいだが、俺は彼女の元へ、
「ごめん、忙しくて、見てなかった」
「........そう」
目線を下に落とた絵美が、酷く寂しそうだった。
俺、仕事してただけなんだが.....。
「後少し待てるか?すぐ戻る」
俺は片付けて、会社を出ようとしたら今度は居ない。
ンガーッ
めんどくせー。
電話するも無視だ。
結局大人すぎる俺は、ここぞとばかりに残りの仕事をし、夜遅くなってから帰宅する。
そうだ、なりふり構わず追いかけるような恋心は今の俺にはない。
俺は、この年の一年前37の時大失恋をした。
出来るならあいつにもう一度会いたかった......。
いや今探せば会える?
そんな記憶をたどり、今やときめきなんて忘れ去った大人の心と共に家路につく。
と、居た。俺のマンションの入口の植木横にしゃがみ込む
さっきより、更に憔悴したような眼差しで俺を睨む絵美が。
「ずっと居たのか、なんで電話でない.....」
俯く彼女を俺はやっぱり抱きしめるしかなかった。
亜美、俺なら大丈夫とか言って訳ありを連れてきたな....。
その後もずっと絵美のつきまとい愛情表現は続いた。
たしかに可愛いさ。
でも、疲れるわ これ.....。
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