両親へ挨拶
今日、打ち合わせの為に絵美さんと会う。
仕事の後、食事では無く喫茶店へ。
うちの会社から近いサラリーマンしか行かないような古めかしい安い喫茶店だ。
「わざわざごめんね。変な頼み事だし」
「いえ。別に。暇なんでかまいません」
無表情....暇?かなりの不思議な子だな。何歳なんだろう。大学の後輩なら、若くて34か?にしてはもっと若いな。いや、質問したらブたれそうな雰囲気あるからやめとこ。
「来週末、両親と食事に行くんだけどそこに彼女を連れてこいと。俺のスペック話しといたほうがいいよね?」
「興味はないです。が一応どうぞ」
なになに、この子どっかの惑星からでも来たのか。
「俺は38で、大学出てから〜」
俺のたしかにしょうもない経歴を顎に手ついて、ちょいめんどくさそうに時々相槌っぽく頷く。
初めて挨拶した瞬間だけのあの女神のような微笑みは錯覚だったのか。
今 目の前で、あくびしやがったこの絵美さんは、小悪魔?いやなんだろ.....
「んじゃ、時間、場所連絡してね。」
え、いきなり今度はタメ口。そして、聞くだけ聞いたら居なくなった......。
俺は偽の彼女を親に会わせて、その後どうすりゃいいんだ..... 。その後誰かを見つけるしかない。本気で。
亜美からメッセージだ
『どーでしたか?エミと』
『うん。なかなか掴めない子だな』
『でしょ。エミのこと頼んだからね!カズ。君なら大丈夫!』
どーゆー意味?
+++
こんなんで、あの古風な親を信じさせられるのだろうかと不安に駆られながらもその日を迎えた。
「こんばんは。本日はお招きいただきありがとうございます。和輝さんとお付き合いしています。蔵田 絵美と申します。宜しくお願いいたします」
彼女は挨拶をし、あの女神のような微笑みを放ち俺の後ろにまたさっと寄った。
な なぬ?!
「あらまぁ お上品で礼儀正しいお嬢さんだこと。ねぇ、お父さん」
「ああ こちらこそ。お会いできて光栄です」
父も気に入ったようだ....嘘なんだけど。悪いな父さん。
「お若くみえるけど、エミさんおいくつ?」
「27です」
えー?!えー!!なんで。10歳以上....
俺だけが驚く不思議な世界......。
「こんな30代も後半の息子でいいのかしら」
「年齢なんて関係ないです。私には和輝さんが大切な人なので。お母様にこんなこと言うのは照れくさいですが、和輝さん、とてもハンサムで優しいですもの」
いやいや、君、女優かなんか?なんでも屋系のバイトしてるとか?
その後も、スラスラと馴れ初めまであっという間に古風な両親を信じ込ませた。
あっぱれだ。
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