52話 住処作り!
「でも、お家って一体……」
「お父さんも魔物の生態については凄く詳しい訳じゃないんだ……だから先生を呼んだよ!」
そういって部屋に現れたのは、グートだった!
「グート! さっきぶりね!」
「まさか、今日の内にまたここに来るとは思わなかったぜ」
「グートが色々教えてくれるのね!」
「ああ! 任せろ!」
(ブルーラインウルフを遊ばせる場所も作ってくれるなんて、ラッキーだな!)
何だか、凄い有難いんだけどやけにノリノリだな……。
「ではグート先生よろしく頼むよ」
「任せてくれ勇者様!」
「じゃぁどんなお家を作るの!」
「お家……ウルフ種やラビット種なら人と同じ環境で屋内飼いでも良いんだが、それ以外の魔物は基本的に適した環境を作ってあげるのが理想だな」
「環境……」
「環境は耐性を参考にする場合が多い。例えばそこのマグマゴーレム。この子は寒い所が凄く苦手だ。飼う場所は高めの気温を維持できるところが良い」
「ほ~」
「重要になるのは、気温と湿度、周辺環境だな。とりあえず今いる魔物で考えると……」
パフボールラビット
屋内飼いで問題なし。人と同じ環境で良い。
チューイースライム
湿気が高い方は良い。
森の様に草木に囲まれているのを好む。
マグマゴーレム。
気温は高めで湿度は低く、
岩や砂を好む
「こんな感じだな」
「へ~ガウレス! ナブートはどんな場所が好きなの?」
「ナブートは基本的に空に居るぞ! 空がドラゴンの場所だのう」
「ほー。ある意味、一番場所要らずなんだね!」
「そうじゃのう!」
「でも、気温を高くしたり低くしたり……この辺で作るのは無理じゃない……?」
「ああ、その通りだ。普通なら適した気温の場所に行かないとダメだな。でも大丈夫らしいぞ?」
そういうと、お父さんはボウリング玉程の真っ白の球を持ってきた。
「お父さんこれは……?」
「神様に貰った、固定環境を作り出す球だよ」
「え……何そのとんでもないアイテム……」
「まぁでもあくまでも気温と湿度を調整する程度だから、木を植えたり岩場を作ったりは手作業になるかな……?」
「ならある程度場所を考えて設置しなきゃだね!」
「そうだね! ちなみに球一つで大体東京ドーム2個分以上程の範囲に効果が広がるよ」
「凄い広さだね……東京ドーム行ったことないからよく分からないけどさ……」
「さ、とりあえずまずはマグマゴーレムの場所と、チューイースライムと魔力の木を育てる場所を作ろう」
「はーい!」
そうして魔物の住む場所作りが始まった!
――たこやきの住処 兼 魔力の木の森
「魔力の木は常緑低木で背が俺の腰程までしか成長しない。それしか植えてなかったらスライムたちは落ち着かねえ」
「うんうん!」
「だから、大きく育つ広葉樹も植えていくぞ」
「分かった!」
「シアとたこやきも手伝うぞ!」
「ああ、むしろたこやきの助けが無いと魔力の木も上手く植える事が出来ない。二人が重要だ!」
「わかった! 頑張るぞ!」
私とグート、シアとたこやきはたこやきの住処と魔力の森作り担当だ。
ガウレスとお父さん、先生の3人はマグマゴーレムの住処作りだ。
「でも、木を植えてもしっかりと大木になるまで凄く待たなきゃだね」
木なんて成長するまで何年も必要よね……。
そう思っていると、グートは苗木を見せつけてきた。
「いや、この苗木なら一瞬だ」
グートはそう言いながら沢山ある苗木の一つを早速その場で植え始めた。
「よし、これで後は……」
「何するの?」
グートは苗のすぐ近くの地面に両手を当て、魔力を込め始めた。
すると……。
「え! なんか一気に木が大きく……!」
「3人とも少し離れろ!」
――バサンッ!!
「よし……この位のサイズで良いか」
数秒前まで苗木だったのに、一気に大木へと変貌した。
葉っぱは綺麗な青色をしている。
「綺麗……! あれ、この木ってその辺に生えてるいろんな色の葉をつけた木だよね?」
「ああ。そうだな! これはスイショクの木って言うんだ」
スイショクの木
漂う魔力を吸い込み、綺麗な空気を排出する。魔力を吸い過ぎると木は一気に成長する。
吸い込んだ魔力の色で葉の色が変わる。
「俺は青色魔法を使う。だから葉っぱは青色になったんだ」
「なるほど~!」
「みなもがやったら黒になるのかな?」
「黒い葉……! なんだか嫌だな~グート全部魔力こめてよっ!」
「ばっ……何言ってるんだよ! 魔力枯渇で死んでしまうっての」
「ええ、それは困る……黒い葉で我慢するしかないね……!」
「シアもやるぞ!」
「うんうん!」
(黒い葉の木がいっぱいになりそうだぁ……)
そうして3人は苗木を植える作業を始めた!
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