46話 扉の先

「……」


 次の部屋は半円状になっており、私が出てきた扉の左横、円周上には二つ同じ扉がある。

 そして円で言うところの弦中心には豪華な扉が構えている。

 多分、豪華な扉が進むべき道だろう。

 でも……。


「グートと先生はこの扉の先にいるのかな……?」


 私は試しに扉を開けようとするも硬くてびくともしない。

 そうこうしている内に一つの扉がゆっくりと開いた。


「先生!」


 先生は服が引き裂かれた様に裂けており、上半身はほぼ裸になっている。よく見ると、切り傷もいくつかあるようだ。


「みなも様! よかった無事で……!」

「ちょ! 先生、大丈夫だよ! それにそんな格好で抱きつかれたら……!」


 先生は私の顔を見るや否やぎゅっと抱きしめてくれた。

 服がない所から冷たい肌が私に触れる……。


「あ、申し訳ありません……しかし、替えの服を持って来るべきでした。まさかランクBのブラッドクロスマンティスがいるなんて……」


 そう言いながら先生は私の横にいるマグマゴーレムを見た。


「み、みなも様……マグマゴーレムを手懐けたのですか?」

「あ、えへへ……成り行きでね!」


 先生は口を手で軽く押さえながら驚愕した表情をしている。


「C+の魔物を無傷で手懐けるとは……素晴らしい才能ですね……!」

「一緒に居た神徒から助けてあげただけだよ!」

「神徒!? たしか二人居るんでしたね。私の所には魔物しか居ませんでした。まさかグートの所に……!」

「先生! 私はあの扉から出て来て、先生はこっち……この扉だけ開いてないよ!」

「そうなのですね。ではここの扉を開けましょう! グートがいるかもしれません」


 先生はそう言いながら扉の前に立った。


「でも……開かないの!」

「なら、破壊するまでです!」

「破壊って……こんな頑丈そうな扉を?!」


「ええ、行きますよ。ハードネスゲイン」


 先生は自身の両腕に魔法をかけた。


 ハードネスゲイン:緑魔法で魔法をかけた部分が一時的に硬質化する。


「はぁぁぁ!」


――ドンッ!!


 先生はその硬質化した手で扉を思いっきり殴りつけた。

 だが……。


「び……びくともしてないね……」

「ふふ、しかも魔法をかけたとは言え、少し痛いです……」

「先生……たまにこういう事あるよね」

「面目ない限りです……」

 

 先生は何かを率先してやろうとした時、大体こんな感じになる場合が多いな……。

 この時にしか見れない先生のしょんぼりした顔は可愛いけど!

 とか思ってる場合じゃなかった!


「先生、さっきの魔法マゴちゃんにかけてよ! それで扉を叩いてもらったら行けるかも!」

「みなも様! 流石ですね。早速やりましょう!」


 そうして先生は気を取り直して、マゴちゃん(マグマゴーレム)の手に魔法をかけた。


「よし、マゴちゃん! 扉をぶっ壊して!」

「ゴォォ!」


――ズドン!!


 扉は、マゴちゃんの右ストレートで粉々に粉砕された。


「さすがゴーレム種! 物理攻撃は半端ないですね!」

「さっすがマゴちゃん! いい子だよ!」

「ゴオン!」

「さぁ行きましょう。まだ戦ってるかもしれません……!」


 そうして私達は急いで扉の向こうへと走った。


・・・

・・

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