44話 マグマゴーレム

マグマゴーレム

灼熱耐性が高いが、氷結耐性は皆無。

物理攻撃が主体。

マグマを纏った打撃は灼熱耐性が無ければ耐える事が出来ない。



 この前授業で聞いていて良かった。

 とにかく私は今、チューイースライムの特製で魔法と打撃は一切受け付けない……けど灼熱耐性は少ししか上がっていない。

 まともに受けたらどうなるのか想像もつかない……!


――グォォォ!


 ゴーレムは拳を真っ直ぐにこちらへと向かってきた。


(え! 早……!?)


 身体はその速さに反応できなかった。

 私は両腕でガードの耐性を取ったが、衝撃で吹き飛ばされてしまった。


――ドシャンッ!!


 吹き飛ばされた先の壁は壊れ、私は下敷きになった。

 それと同時に、忘れていた現実を思い出した。


(私は結局私のまま……ただの高校生……)


 みなももこちらへ来る前は色々な漫画を読み漁っていた。

 もちろんバトル漫画なども読んだ事がある。


 ゴーレムが攻撃力が高くスピードは遅い……何となくそういった印象を持っていた。


(ゴーレム……実際この世界での魔物の中では遅いのかもしれない)


(向かってくる魔物……漫画で見るのとはまるで違う。避けられる気がしない。足がすくんで動けないよ……! そもそも全然見えない。手が間に合ったのだって奇跡みたいなものだよ……)


「ふふ……やり過ぎたか。即死か!」


 敵の声が聞こえてみなもはハッとした。

 みなもが飛ばされた壁は粉砕され、その瓦礫に埋まっているのにも関わらず一切痛みを感じていない。


 ガードした腕も多少の熱さは感じたものの痛みなどは一切ない。


(凄い……今だけはこの頑丈さで何とかなりそう……! 何とか鎖を外してあげたいけど……!)


 みなもは改めて鎖を見た。

 身体を巻き付き、胸辺りに鉄板がついている。背中にも同じような鉄板があり、背中の鉄板部分から鎖が一本伸びており、それを神徒が手に持っている状況だ。


(まずは隙を見て手の鎖を奪う事が出来れば……)


 しかし、吹き飛ばされた為、神徒との距離は50m以上離れている。一瞬で詰め寄る術など無い……。


(そうは言っても神徒から私は50m以上離れている。50m走は7秒台だったけど……多分あいつの所までは10秒はかかる!)


 そんな事を志向している内に、神徒は背を向け移動を始めようとした。


(動くなら今だ……!)


 みなもは静かに立ち上がり、一直線に走り始めた。


――ダッ……!


(あれ、何だか走りやすい……! 床に弾力があるような……)


「感覚が違うっ!!」

「あ……?」


――ドンッ!!


・・・

・・


 今、50mを走ったら4秒くらいで走れそう……

 私の目の前には私の頭突きで気絶してしまった神徒、大人しく座っているマグマゴーレムがいる。


「マグマゴーレムちゃん、ちょっと待ってね……! すぐ鎖を外すからね!」


 攻撃をガードした時に少し感じていたけど、今の私の身体は現在、大きめの衝撃を加えるとゴムの様な弾力が発生するようだ。

 そして、足で床を思いっきりけった時に、その弾力がバネの様な効果を生み、走る速さを上げてくれていた。

 まぁ、その速さに感覚がついて行けず、足がもつれて神徒の顎に私の頭突きがヒットしたわけだが……。


「ここのひっかける部分を外せたらとれそうだな……思いっきりひっぱってみよう……!」


 ゴーレムの方に乗り、鎖を手にぐるぐるに巻きつけて引っ張っているが、鎖が腕と手に思いっきり食い込んでしまっている。

 見た目は少し身がギュッとなっててグロイが、痛みはない。思いっきり引っ張れそうだ。


「ん……ぐ……私は……」

「やば!」


 神徒が目を覚ました。


「ぐ……! 貴様何をしている!! 降りてこい!」

「だれがおりる……か!」

 

――パキンッ!!


 金属がはじける音が部屋に鳴り響き、鉄板と鎖が地面にキィンと音を立てながら落ちた。

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