41話 改めて出発!

「レジストレント!」


――シュゥゥ


 魔法を放つと、パフボールラビットに行った時と同じ挙動で発動した。


 魔法陣がたこやきをスキャンするように上下し、その魔法陣を掌で吸収……。

 その後、私の身体は光り輝いた後、何事もなかったかのように終息した。


「……みなも! 大丈夫か?」

「うん! 何とも無いよ! 何とも無さ過ぎて本当に魔法が成功したのかも分からないよ……」


 私は自分の身体を触ってみるが、肌の感触などは変わっていない様子だ。

 やはり、パートナーじゃないとダメなのかな……。


「……試してみるか?」

「え?」

「痛くない魔法、使えるからさ」

「ちょっと怖いな……」

「でも本番で効くか分からない方が怖くね? アイスチェーンって魔法なら痛くないはずだ!」

「……わかった! 私に撃ってみて!」


「よし、いくぞ! アイスチェーン!」


 グートの手のひらから魔方陣が現れ、氷の鎖が無数に飛び出した。


 それは私の足めがけて飛んできている。


「え! ちょっと痛そうじゃないこれ?!」


――ガシャァン……


「な……!」


 アイスチェーンは私の足に巻き付くと当時に粉々に砕け、消滅した。


「凄いな……魔法を無効化した時の消滅の仕方だ……」

「痛くもないし、すこーしだけひんやりした位……かな?」


 すると、グートは突然私の額に向かってデコピンをした。


――バチンッ!


「ちょ! いた……くないよ!」


 驚く事に、推されたような感触はあれど、デコピンは一切痛みを感じさせなかった。


「魔法は成功して良そうだな……俺のデコピンで倒れない奴がいないはずがない!」

「いや、そんなレベルのデコピンなの!? こわ!」

「むしろ俺の指が凄く痛い……チューイースライムの打撃と魔法の無効化耐性は上手く借りられているようだ。凄い魔法だな……魔物さえ用意出来れば、色々な応用が効く」


 グートは指をさすりながら、真剣にブツブツ語っている……たまに変なスイッチが入るなこの子。


「とにかく、これならある程度私も戦えるよ! 行こう!」

「ああ俺のウルフに乗れ。さっさと行くぞ」


 そうして二人と二匹は共に魔王城へと向かって行った。


・・・

・・


「ふう。幸い魔物は現れなかったな。しかし、魔王城についたはいいけどどこに居るんだ?」

「えっと多分ここに行けばいいかな」


 わたしはMAPをグートに見せた。


「この目的地って所か。てか何だこれ! 自分の位置がわかるのか!?」

「うん! 凄いでしょ! お父さんに貰ったの!」


 神様に貰ったとはさすがに言えない……。


「お前、なんでそのMAP持ってて迷子になってんの……?」

「えへへ……」

「まったく……とにかくここだな俺について来い」

「うん! グートが来てくれて本当に良かった!」


 そう言うと、グートは私の方を少し見た後、少し顔を赤らめフンと前を向きなおした。

 狼の耳と尻尾はぴくぴくと動いている。


(この尻尾の動き……喜んでるワンコみたいで可愛い……)


 そんな事を思いながら尻尾をみていたみなもだった……。

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