37話 魔法習得!

「ミ~」

「ふーっ……[レジストレント]!」


――シュゥゥ……


 魔法を唱えると、私の手のひらから魔法陣が現れ、パフボールラビットをスキャンするように通り抜けた。


「今魔法陣にパフボールラビットの情報が刻み込まれました! それをもう一度掌に収めてください! 吸い込むように!」

「吸い込む……!」


 私は掃除機の様なイメージを想像しながら掌に集中した。


「むうう!」


 すると、魔法陣は段々と小さくなり、掌へと消えていった。

 その瞬間……。


「うわ、何この感じ……!」


 身体が段々と熱くなっていく。


「みなも様、大丈夫ですか!」

「何だか体が熱いよ……ってあれ……?」


 段々と熱くなり、少し焦り始めた瞬間、その熱くなる現象は収束した。


「どうしましたか!」

「いや、熱くなるのは止まったよ! これ……成功かなぁ。体感的には何も変わらない!」

「そうですね……」


 先生も私の顔をまじまじと見るが、見た目では何も変わっていない。


「えい」


 先生は突然えいと言いながら私に氷を押し付けてきた。


「ちょ! 先生!? いきなり冷たい……あれ?」


 氷は確かに私の頬に触れて居るのだが殆ど冷たさを感じない。


「パフボールラビットは少しだけ氷結耐性があります。その影響が出ているのでしょう」

「つまり……」

「ええ!」

「成功だー!」


 私は先生とハイタッチした。


・・・

・・


「すごいよ! アイス食べても全然キーンとならない!」

「みなもも、この世界で魔法が使えるようになって良かったね」

「うん! 何というか地味な感じだけど……アイスもキーンとなった方がアイス食べてる感があって良いね……!」

「あはは。まぁ魔物にも色々いるからね。応用は色々出来るはずだね」

「うん!」

「そういえば……ガウレスとシアは?」

「遊びに行くと言っていたよ」

「えー! いつもなら一声かけてくれるのに!」

「それはみなも様が勉強中だったからでしょう。さ、安定して使える様に練習しますよ」

「はーい!」


 今日の授業が夕方近くまで続いた。


・・・

・・


「今日は遅いね。二人とも」


 二人というのはガウレスとシアの事だ。

 いつもは大体夕方頃には帰ってくるんだけど……。


「そうだね……まぁまだ夕方……だし……」

「みなも、眠そうだね」

「うん……なんだか、凄く疲れた……」

「魔力を沢山使ったら疲れが来るからね。今日はもう休みなさい」

「分かった!」


 そうして、私はまだ夕方を過ぎた頃だが、先に寝る事にした。


・・・


「……アラートが鳴っている……」


 みなもが寝静まったころ、シンセは出掛ける支度を手早く終わらせ、外出していった。

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