第4話 高校生編

 朝の目覚ましが鳴った。いつもの時間に起きて朝の準備を始める。朝ごはんを食べ、家を出る。そしていつもの通学路で翔梧達と合流する。


「おはようそうちゃん。昨日は翔梧と遊んだみたいだけどなんで誘わなかったの?」

「おはよう優花。学校が終わったことだし、翔梧が昼飯を食いに行こうって誘ってきて、まだお開きする時間でなかったから軽く遊んだ。そもそも優花は部活だったから誘わなかった。」

「そう言うことなら部活を休んでまでも遊ぶたかったもん。」

「それはダメだろ。もうすぐ練習試合が近いだろ、そのために練習はしないといけないだろ。この件の埋め合わせは必ずするから安心しろ。そうだろ特に翔梧は。」

「なんでだよ!?颯真。」

「元々お前が誘ったのだからちゃんと埋め合わせはしろよな。」

「そうだよしょうちゃん。ちゃんと埋め合わせはしてね。」

「は〜。わかったよ。ちゃんと埋め合わせはするから。」


 昨日のテストはどうだったのかとか学校終わった後どんなことをしていたのかを話はしながら俺達は歩いていた。


「そういえばしょうちゃん。なんか今日転校生が来るみたいだよ。」

「そうなんだ。なんで優花が知ってんだよ?」

「それはねしょうちゃん。部活の帰りに体育館の鍵を職員室に返そうとしてた時にちょうど聞こえてきたの。」

「そうなんだ。男か女かどちらか分かったのか?」

「分からなかったよ。っていうかなんでしょうちゃんはそんなこと聞いてくるの?」

「それは・・その・・・なとなく?」


 優香の周囲のオーラがだんだんと黒くなっていき、それは感じたのか翔梧は自分がやらかしたことを感じたのか額に冷や汗がダラダラと流れている。


「そうちゃんそれはどういう事かな。彼女であるこの私を差し置いて転校生のことを気にするんだ〜。」

「え〜とそれはだな。もし男なら優花を取られたくないし、女だったら俺にハニートラップ仕掛けてくるのではないかと警戒しようとしただけだよ。信じてくれよ優花。」

「そうなんだ〜。まぁそういうことにしてあげる。転校生が男でも絶対になびかないよ。それぐらいしょうちゃんのこと好きだし。」

「ありがとう優花。俺もどんな人が来ても優花のことが好きだよ。」


 また出たよこの甘々な空気は本当にどうにかしてほしい。ケンカしたらしたで仲直りの後この甘々な空間にしてくるから近くにいる俺がいることを無視してこの空間はよく作るからこれ以上糖分を取ったら甘いものが嫌になってしまう。俺はこの二人を置いて先に学校に向かった。


 置いてきた二人は今頃遅刻しそうだから走っていると思いながらも学校についた。自分のクラスに行き、自分の席に着く。そしてカバンから本を取り出し、読書を始めた。本を読み進めていると、ちょうど良い場面のところで置いてきた二人が到着した。


「そうちゃんなんで置いていたの!!」

「そうだよ!!なんで置いてく!!」

「だってお前ら道端で甘々な空間を作っていて、俺は何度も呼びかけても返事してもらえなかったから俺は遅刻したくなかったし、仕方なく置いていった。それではダメか。」

「ダメだよ。友達を置いて行くなんて。」

「そうだぞ。友達を置いてくなんて酷いだろ。」

「どうすればいいんだよ!」

「そうでね。大きな声で呼びかけるとかかな。」

「反応もしないのに。」

「ヴぅ・・・それは・・その・・」


 優花を論破してしまい顔を赤くしながら、目で(助けて)と訴えながら翔梧を見た。


「颯真。流石に置いてくのはどうかしてると思う。せめて連絡だけはしてくれ。どっか行ったのかと思ったよ。」

「それはすまんかった。次からはRONEに連絡は入れとくよ。」


 俺は読んでいる本を終い、翔梧達と朝のチャイムが鳴るまで雑談してた。優花には今日の罰でもうすぐやる練習試合を観にくるということになった。幸いその日はバイトを入れてなかった。なんでこんな日にバイト入れてなかったのか後悔をした。そして、しばらくして山下先生が教室に入ってきた。


「お〜いお前ら席につけ。今から朝のHRを始める。その前に転校生を紹介する。」

「山下先生転校生は男ですかそれとも女の子ですか。」

「それは答えられない。もしそれを答えて君たちの予想が外れたらブーイングが始まり、ブーイングをされた転校生が可哀想だろ。そのせいで今後の学校生活が苦しくなるだけだろ。もしブーイングをしたら私は許さないからな。」

「そういうことだから優しく迎えてくれ。それじゃあ入ってきてくれ。」


 先生の合図で教室のドアが開いた。


「この度転校してきました。橋本 涼加はしもと すずかです。残りの高校生活よろしくお願いします。」


 転校生は深くお辞儀をした。皆の拍手で良い歓迎ムードになった。けど俺は衝撃を受けている。この転校生はこの前ナンパにあった時に助けた女の子だった。


「自己紹介も終わったことだし、席は・・そうだな颯真の隣の先が開いてるな。そこに座ってくれるか。」

「はい。わかりました。」

「これで朝のHRを終わりにする。田中君この後職員室に来てくれ。」


 あさHRの終わりのチャイムが鳴り、俺は山下先生に呼ばれ職員室に向かった。

「早速だけど頼みごとがあるのでけど良いかな。」

「頼みごとの内容によりますけど。無理な頼み事わ無理ですよ。」

「無理な頼み事はしないよ。そういう訳で田中君。橋本さんを放課後に学校内を案内してくれ。それぐらいできるよな。」


 俺の嫌な予感が当たってしまった。なんで僕が案内しないといけないのだろう。


「山下先生。なんで俺が案内をしないといけないのですか。」

「それはお前の隣の席だし、私の予想では面識があるのでないのか?」


 この先生の予想は意外と当たるからちょっと怖い。確かに面識はあるがその理由で俺がしないといけないのだ。


「山下先生、それは学級委員がすれば良いと思います。」

「学級委員はまだ決まっていない。」


 最悪だ。何でこんな時に学級委員が決まってないの、この後家でゴロゴロする予定があるのに、ここは言い訳で通そう。


「すいません先生。案内をしたいのが山々ですが、この後バイトがあるので無理です。」

「ほ〜ん。そんな言い訳をするのか。誰のお陰で進級できたと思っている。その貸しがまだ返していないよな。」

「はい。そうです。」


 山下先生が鬼の表情でこちらを見ている。俺は山下先生のお陰で進級ができた。チラッと山下先生を見たら、鬼の角が生えてきているような顔をし、一歩ずつ前に来ていたので、俺は震えながらも質問した。


「えっ・・と・・・いつ返せばよろしいでしょうか?」

「今しかないでしょう。私は放課後に教員との打ち合わせと女子バスケの練習を観ないといけないから私はとても猫の手も借りたいところでちょうど貸しがある田中君を呼んだの。」

「そうですか。これで貸しがなくなるのなら引き受けても良いですよ。」

「なんか上から目線なのは気になるがそういう事だからよろしく。」




 今まで他人に関わることが出来ず、普段悪目立ちしかしない颯真が転校生の涼加のおかけで颯真自身の色が色着き始めることはまだ颯真自身や颯真の友達はまだ知らない。







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