第2話 非常階段からの黒いモヤ(1)

初めての話はやはり自分の体験談が良いと思うのでさせていただきます。


自分は職場の敷地内の建物に住んでいます。寮のような感じで同僚と一部屋に3〜6人で部屋分けされています。あの時は3人部屋でした。

自分の部屋は8階の一番西側で非常階段からのすぐ横にありました。


日付までは覚えていませんが夏の季節だったと思います。夏だというのになぜか建物の冷房は稼働しておらず、各人は私物の扇風機を使い、さらには窓とドアを全開、廊下の窓と非常階段の扉も開けておりました。

その日はいつもどおり扇風機で涼みながら就寝していたのですが暑さで夜中に目が覚めました。ふと部屋のドアに目を向けると黒いモヤのようなものが非常階段側から高さ20センチ位で10センチくらいドアから除いていました。

夜中なのに黒いモヤ、はっきり見えることから霊的なものだと分かりました。自分は霊感はないが時々こういうのは見えるからその日は気にしませんでした。それが3、4日の続いたので不思議には思いましたが特には何も対処はしませんでした。


ある日、自分は職場の勤務、分かりやすく言えば宿直のような勤務につきました。勤務は月曜から木曜までの半週交代のものでその間は自室とは別の勤務部屋で過ごすことになります。勤務は3名一組で自分の上司と部下とつきました。

たしか2日目、火曜だったと思います。

自分は18時頃、入浴のため上司に断りを入れて8階のシャワー室へ行きました。10分ほどでシャワーを終わらせて勤務部屋に戻るとなにやら慌ただしくしておりました。どうしたんですかと聞くと飛び降りがあったと言われ、細部を聞くと自分の自室の横の非常階段から飛び降りていたと分かりました。自分がシャワーを浴びている10分の間でです。


救急車が来て搬送されましたがその人は助かりませんでした。自殺した理由については借金で首が回らなくなっていたとのことです。

自分が最近見ていた黒いモヤはこれを暗示していたのかもしれません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る