ザ・ディスカバリー

わかりやすいコメディから一転。日本では劇場未公開となる2017年の本作は口の端が上がるどころか、時間の経過と共に眉間の皺が一本、二本と増えて行く。最終的には何本になったのかは不明だが、とある科学者が死後の世界を証明したと公表することにより自殺者が急増するという皮肉な結果を招く。この辺りで難解の領域に足を踏み入れてしまい、画像の装置を付けることもなく必死に脳細胞を活性化させるのだが、時すでに遅しとばかりに映像との間に壁を感じだす。せめてもの救いは俵に足を残していることで、強い張り手でももらえば完全に土俵の外だ。恐らく希薄な出演者であれば心地良い眠りに招かれただろうが、登場するだけで目を見開かせるようなルーニー・マーラの存在感が瞼の下降を抑えたのではないだろうか。陰のある謎めいた女性。加えてどこか忙しなく吸うタバコが実に絵になる女優だ。愛らしい笑顔が少ないのが残念だが、これも彼女の魅力かもしれない。可も不可もない作品だろうか。(2017,アメリカ・イギリス)

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