第23話『過去』

夕闇があたりをつつみ

港から胸に響くような重苦しい

汽笛が聞こえる頃になると

又忌まわしいあの日の出来事が

俺の脳裏をかすめて通る


悪夢のようなどす黒い昔の想い出


忘れようと努めるが

忘れられないあの日のことが

雨の降る久里浜の街に

白く悲しく覆い被さってくる


雨の降る久里浜の街は

ひっそりと静まりかえっている


俺の過去の上に

白く悲しく覆い被さるような

静かな雨の音を聞きながら

俺は大声で叫んでみたかった


俺の過去の何もかも

流してほしいこの雨でと


雨はいつまでも

俺の過去を物語るかのように


悲しみの曲を奏でながら

しとしとと降り続いている





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