第17話『十二月十日の想い』

想い出とは誰しもが恋うるもの

誰しもが願うもの


想い出とは楽しいことばかりでなく

苦しいこと そして恐いことも

すべてのものが回り舞台のような

瞼の裏で甦る

とても懐かしいもの


過去と想い出との違いは

それをいかに美しく

僕達の胸に飾るかによって決まるだろう


だから僕も

黒い想い出を忘れる為に

新しい生活を生き抜く為に

せいいっばい努力している


報われず蔑まれても

僕は僕の心に忠実に従う


それは他人に分からない

今の僕の複雑な気持ちの表れ


そして僕の心は今日

『この世界を去っていく』


僕の気持ちを分かってくれる人の現れる迄


『この世界を去っていく』


こんな言葉の深い意味など

僕以外には分かってもらえる筈はない


自由のある人達には

いつまでも分かってもらえない


僕だけの弱々しい言葉







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