第15話『面会』

先生に連れられ面会室に入ると

そこには優しい父母の姿があった


机を間に差し向かいに座った俺は

下を向いて何も言えなかった


心配そうな父母の顔が

俺を覗き込むようにしてこう言った


『元気ですか』


思わず込み上げる懐かしさの中に

父母の愛情を感じざるをえなかった


母にもらった面会の菓子を口に入れながら

ひと言ふた言口を開く

口に広がる甘い菓子の味が

次第に淋しさを忘れさせてくれる


優しい風に揺れている窓の音を聞きながら

面会室いっぱいに満ちている

父母の愛情の中で

俺は忘れかけていた良心を取り戻した


それはダイヤのきれいな光のように

澄んだ優しいものでした




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る