第10話『哀詩』

寂しさのために瞳を閉じ

悲しさのために涙が頬を伝う


今 僕の脳裏にあるものは

何時迄も癒える事のない

真赤な傷跡と

陽の光を遮る鉄格子の群れ…


やがて夜を迎えると

深い眠りにつく

仲間達がその夢に見るのは

素晴らしい自由の世界と

ユートピアの美しい門…


けれど短い夜の楽園は

壁と格子の現実に叩き潰されてしまう

だるい体を床の上に持ち上げると 頭の天辺から爪先迄流れ落ちる

血の勢いに 僅かの目眩を感じる…


寂しさはふっとそんな時

悲しさはふっとそんな時

  

込み上げてくる…






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