第7話『特少の門』

厚い灰色の壁と鉄格子とが

妙な調和をかもし出す厳しい門…


院外から特少へ

一歩足を踏み入れると

不気味な…

しかも殺伐とした感じがする


俺だけではなしに誰もが感じた

特少の神秘なのかも知れない…


数々の思いを秘めた壁の落書き

希望の薄れた様な弱々しい眼差し…

幸福の二字を綴る事は出来ない


魔人の様に大きな口を開け

日も厳しい鉄の門は

幾人かの新しい仲間達を呑込むだろう…


厚い灰色の壁が腹を抱えて

嬉しそうに笑うだろう


しかし高いあの煙突だけは

高いところから悲し気に

動けぬ自分と似た俺達を哀れんでくれるだろう…


厳しい鉄の門は 

今は何も無かったように

又ひっそりと静まり返っている…






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る