ハードSFは、非科学的な断言はできない件

終章 ラノベの設定を精緻に詰めるとSFに……ならない。

神奈いです(@kana_ides)様の以下のツイートをお見かけした。

『科学的な人ほど断言しない。

そして断言している人ほど非科学的という傾向が見られます。』


 仰る通り。


 そして、ハードSFを書く場合、作者の設定について断言が必要となる。

 ハードSFの作者様はかなりの割合で実際に物理学者であったりエンジニアであったりするのだが、以下の2パターンと感じてしまうこととが多い。


§ 断言している設定が練れていない又は無理がある(科学的にどうかと思う)……が、乗り越えて読み終えると読み物としては感動的なラストとなる。

§ ストーリー中盤で断言できない苦悩を伴う展開が続き(科学的なので面白い)……オチが詰まらないあるいは物足りない。


 前者の例としては、ウィリアム・ギブスンの三部作『ニューロマンサー』、『カウント・ゼロ』、『モナリザ・オーヴァドライヴ』。 

 後者の例としては、グレッグ・イーガン『宇宙消失』。


 ならば、《ストーリー中盤で断言できない展開(科学的)の後、……オチも面白い作品》を書けないものか?

 僕がそう思いはじめたのは3年くらい前のこと。当初はラノベとして書き始めた自作タイムトラベルものの主人公を、未来の数理系エンジニア(ガチのリケジョ)としてしまった頃である。……他作に登場するのはエセリケジョばかりなのだけれども……


 そこから、ラノベを読むのを控え目にして通勤時間や週末などを使って近時の宇宙論と量子情報論などをキャッチアップしまくり、3年を経て、なりきりガチリケジョとなってみたのですが……やはり、科学的なリケジョは断言しないので、断言しない部分を設定として盛り込むとSFにならず、ラノベになってしまう。辛い、、、


 ガチリケジョ、非科学的な断言に冷たい視点を送るし……


 ということで、残念ながら、10万字以上書いたところで、これはやはりラノベなのだ、いや、ラノベの設定の一部にするしかないと気づいたのでした。


 僕の力量では。


 ということで、本試論は残念ながら終了とします。

 なりきりガチリケジョの思考経路を参考資料として次話に付します(推敲前)。

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