第22話 ムカつくお姉様達は潰してやるわ!
「あ~イライラする! なんなのよ本当に!!」
「落ち着きたまえ、美しい我が妻よ」
お姉様と話をした日から数日、ベルナール家の屋敷に帰ってきていた私は、いまだにお姉様のものを奪えなかった事にイライラしていた。
屋敷にいる時は、お姉様のものは全て私のものだったのに、なんで今回はそうならなかったわけ!? ていうか、マリーもあの男もバカ過ぎるわ! どう考えてもあんなボロ小屋に住むよりこっちの方が快適だし、お姉様と付き合うよりも私のおもちゃとしてかわいがられる方が幸せでしょ!!
「最近エクエス家の悪評が貴族の間で広まっているが、それでイライラしているのかい?」
「え、なにそれ?」
「知らないのかい? どこが情報の発信元かはわからないが、最近のエクエス家は財政難なうえ、ティア・ファルダー……今流行の作家を追放をした、無能な家って話で持ちきりだ」
え、そうだったの? 全く知らなかったわ……正直、今の私はベルナール家に嫁いでるんだし、エクエス家がどうなろうと知った事じゃない。でも、誰がそんなムカつく事をしてるのかしら?
……わかった! きっとお姉様が嫌がらせのために言いふらしたんだわ! 本当にいやらしい女ね!
「違うのなら、どうしてイライラしてるんだい?」
「お姉様や、一緒に来た連中の態度が、すっごく気に入らなかったからですわ!」
「ああ、そういえば、先日のエクエス家の屋敷であった事をちゃんと聞いていなかったね。何があったんだい?」
「そう! 聞いてくださいアベル様!」
私はこの前のお姉様の失礼極まりない言動の数々を伝えると、アベル様は青筋を立てながら、机に思い切り拳を振り下ろした。
「なんてひどい女なんだ! 絶対に許せない!」
「でしょう!? だから私、お姉様に仕返しがしたいんですの! ねぇアベル様ぁ……なにか良い方法を思いついてくれたらぁ……私、凄く嬉しいんですけどぉ……」
アベル様のやる気を更にあげさせるために、私はアベル様の隣に行き、身体を押し付けるように抱きつきながらお願いをすると、デレデレした表情を浮かべるアベル様は、勢い良く頷いてくれた。
ふふっ、そうよね~世界で一番美しくて可愛い私のお願いなら聞くのは当然だし、デレデレしちゃうのも男なら仕方がない事。やっぱりあの男は目も頭も腐ってたのね!
「よし、ボクもあの女のせいで父上にこっぴどく叱られたし、復讐してやりたい気持ちは同じだ。それに、まだボク達の物語を作るのを諦めたわけじゃない!」
「まあ頼もしい! それで、具体的にはどうするですの?」
「物語が相手なら、物語でぶっ潰す。勿論ボク達のやり方で……ね」
物語で潰すって……面白い提案だけど、お姉様を取り込む事は失敗したのに、私達の物語を書いてくれる有能な作家なんているかしら。
「どうやって物語で潰すんですか?」
「作家は何もティアだけじゃない。有能な作家を手あたり次第に探して、金を渡して書かせ、あの女の本よりも売り上げを出す! そうして黒字になった金を、エクエス家に入れればいい」
「で、でもまた専属が~って断られたりしないかしら?」
「もしそう言って来ても、金で黙らせればいい。さすがにイズダーイのような大きいところは動かないだろうが、金に困ってるような小さいところなら、喜んで食いついてくるさ」
なるほど、さすがアベル様は賢いわ! でも、それだけじゃお姉様の出した本より売り上げが確実に上になるとは限らない。やるなら徹底的にやらないといけないわ。
「それなら他にもいい方法がありますわ。確実にお姉様に勝ち、そして傷つけられる方法が――」
思いついた方法をアベル様に伝えると、とても愉快そうに高笑いをした。
「それはいいな! 金は余分にかかるが、確実に勝てるし、嫌がらせができる! あの女がへこむ姿が目に浮かぶようだ!」
「でしょう! やってやりましょうよアベル様! あの調子に乗ってる奴らを私達で潰しましょう!」
「ああ! よし、まずは腕のある作家を探す所からだな!」
意気揚々と立ち上がったアベル様は、従者と何か話しながら部屋を出ていった。
うふふふ……見てなさいお姉様。しょせんお姉様は私より全てが下で、私に奪われる立場の人間だって事を思い出させてあげるわ! うふふふふふ……!
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