第25話「ギルド討伐依頼」
新しい装備を身に付け11階層で装備の感触を試している頃、12階層では異変が起きていた。
3大ギルドの一つ【フィアーズギルド】がおかしな動きを見せていたのだ。
◇
「なるほど、これだけ防御力が上がればオークの攻撃も少しは耐えれそうだな」
「そうだね! さすがユニーク装備!って感じ!」
「早く成長しないかなー」
成長の条件はよく分からないが、恐らく俺の魔改造みたいに一定数敵を倒したら成長していくのだろう。
通路の奥の方から三人ほどのホルダーがこちらに走ってきた。
「くっそ! なんだよあれ! もう少しで街だから頑張れ!」
「あ、ああ。すまない」
そこには片腕が焼け焦げた状態になっている一人のホルダーを担いだ人達が歩いて来ていた。
「どうしました!? 大丈夫ですか?」
「上の階でフィアーズギルドの奴らが陣取って上がってきた奴らを襲ってたんだ。通りたければ所持品全て置いてけって」
どうやら反抗した彼らは奴らに攻撃されてここまで逃げてきた様だ。
「なんでホルダー同士が……」
「あいつらは頂上に登る事が目的じゃなく、下の街を拠点に自分達の国でも作ろうとしてるみたいだったぜ」
想定していた最悪のパターンだ。
前に12階層に上がった時は特に異変は無かったのでこの数日の内の出来事だろう。
「ひとまず街へ戻りましょう! 俺達が援護します!」
「ああ、助かる! すまないな!」
詳しい事情を聞く為に一度自分達のホームへ一緒に来てもらった。怪我が酷かった人にはポーションを飲ませて休ませた。
「それで、今12階層はどんな状況なんですか?」
「まず12階層にあるレストエリアは全てあいつらが独占していて入れない。もちろん13階層に上がる扉も守られている」
「それに街にいる住民を12階層に連れて来てあのエリア一帯を新しい街にしようとしてるんだ」
「ダンジョン内に街? そんな事できるのか?モンスターだっていて襲われるんじゃないか?」
「あいつらのホルダーにモンスターを従える事が出来るスキル持ちがいるらしい。そいつでモンスターも味方にして襲わせてるみたいだ」
蓮は過去の記憶で一度見たことのあるスキルを思い出していた。
(確かテイムとか言うユニークスキル保持者が一人いたな。それか……)
「状況は大体分かったよ。俺達も上の階層には用があるからどうにかしないとなんだけど」
「それなら今街でタワー連合のギルドメンバーがフィアーズに対して交渉に行こうとはしてるみたいだぞ」
(んー、ならまずはタワー連合と合流してそっちの話も聞いた方が良さそうだな)
「分かったよ! ありがとう!」
蓮は怪我人の看病を三人に任せてタワー連合のギルドホームに向かう事にした。
◇
「ひゃー、ここがタワー連合のホームか! 立派な所だな」
ホームの前には二人の門番が立っていた。二人とも立派な装備に身を包みこちらに話しかけてきた。
「ここはタワー連合のホームだ。何か用か?」
「ギルドマスターに会いたいんだけどいるかな?」
「マスターなら今会議の最中だ。それにどこの誰かも分からない奴とは会わせられないな」
(まあそれもそうか。きっとフィアーズに対して警戒している時だろうしな)
「分かった。それじゃまた改めさせてもらうよ」
◇
「さて、どうしたもんか。12階層に行ってフィアーズの奴らに通して下さいって言っても話聞いてくれるわけないよなぁ」
「蓮さん!」
街を歩いていると大柄の男性が大きな声でこちらに話しかけてきた。
「デュラムさん!? どうしたんですか?」
「はぁ、はぁっ、エルムが! 娘がフィアーズギルドと名乗る人達に連れて行かれて……!」
「なんだって!? エルムさんがどうして?」
「俺達にもユニーク装備がどうとか言ってたな」
蓮達がユニーク装備を以前エルムに作成してもらった際に鍛冶屋から出てきたのを偶然フィアーズギルドのホルダーに目撃されていたのだった。
(……ユニーク装備を作ってもらうのが狙いか)
蓮の予想通りフィアーズギルドの連中はエルムに装備を作らせる為に拉致したのだった。
しかし、エルムがユニーク装備を作れたのはクエスト報酬のユニーク装備作成のレシピがあったからでホイホイと量産できるわけではない事には気付いてなかった。
「頼む! エルムを連れ戻してやってくれ』
「分かりました。デュラムさんはお店で待っていて下さい! 必ず連れ帰ってきますから!」
「ありがとう!」
蓮はまず事情を葵達三人へ話す為にギルドホームに戻った。ホームに入ると葵も何か話したい事があるようだった。
「みんな、少し話したいことがあるんだ」
「あ、蓮! 私達も話したい事あるの!」
「それなら葵の話から聞くよ。どうしたんだ?」
「さっき、タワー連合の幹部の人達が来てフィアーズギルド討伐の援助要請について依頼されたの」
「なるほど。俺の話したかった事と目的は合致してるな。エルムさんがフィアーズの奴らに拉致されたんだ」
「え!? なんでエルムさんが!?」
蓮は先程、鍛冶屋でデュラムと話した内容を三人へ説明した。
「なるほどね。ユニーク装備目当てか。それなら少なからず連れてかれたのは私達のせいでもあるんだね……」
「ああ……だからさっきのタワー連合の件は参加したいと思ってるんだが、どうかな? 実はギルマスに会おうとしたけど断られてね」
「やろう!」
「うん、私達もエルムさんにはお世話になったし助けなきゃ」
「そうですね!」
タワー連合との協力戦は2日後、11階層へと続く扉前へ集合する事になっていた。それまで小規模ギルドに声を掛けて参加する人を募る様だ。
2日後の決行日までは、被害が街に及ばない様に街にタワー連合のギルドメンバーが配備されて警戒に当たる事になった。
俺たちは2日間で何が出来るか話し合いをした結果、四人のレベル上げとティリアのスキルによるアイテムの作成、そして蓮のスキルボード解放に全力を注いで準備する事にした。
◇
――二日後早朝
準備を整えた四人は寝る間も惜しんでレベル上げに尽力した為、見違える強さになっていた。
とりわけ蓮に至っては魔改造という言葉がピッタリくる程に別次元の強さになっていた。
以前カスタマイズスキルのレベルが4に上がった際に新たに習得した改変効果のMDEF +と属性付与(雷)も増えて戦闘の幅も広がった。
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