死にループを繰り返したらいつの間にか不死身の体を手に入れてました
@uisan4869
第1話 死のループ
よくゲームやアニメの世界で主人公が延々と死に続けて話が進む謎イベントが存在したりする。世間ではそういうシステムがあると「クソ」という二文字のレッテルを貼られたりすることがある。一般的につまらないと称されるものに興味を持ってしまう体質?である。今までもネットでつまらないと酷評を受けているゲームをあえて完全攻略し、その内容を2ちゃんねるのスレに投稿してみたり、作画崩壊しているアニメのいいところを二徹してまでも探し出し、論文形式にまとめ上げ制作会社に送りつけたりと、普通のオタクからしても変人、いや「変態」扱いされるほどに僕の性格は捩じ曲がっている。それは僕自身わかっている。だが、そんな変態と呼ばれる僕でさえ今まさに悩みの種であるゲームが存在する。
その名も「ファイターオブメモリー」というRPGゲームだ。そのゲームは主人公の勇者が最強を目指すために敵を倒してはその記憶を奪って技術を蓄えていく、ちょっとダークな要素が入った勇者もの。どこかで聞いたことがあるような設定のゲームだが、このゲームバグだらけのいわゆるクソゲーなのだ。
例えばあるコマンドを打つとキャラが動かなくなってリセットを余儀なくされたり、ボス戦を前にして直前に装備を入れ替えるとゲーム自体が落ちて負け扱いからの持ち物全ロストは当たり前。そして極めつけは「死にループ」が存在すること。
しかもストーリーを進めていく上で中盤までで数えても両手で数えられるほど溢れている。多くのユーザーはその「死にループ」の多さに攻略を諦めてしまうが、数多くの「クソゲー」を攻略してきた僕はこのゲームを見つけた瞬間から心を奪われてしまった。しかしこのゲームはそのバグのあまりの多さから絶版となり、なかなか見つけ出すことが出来なかった。ネットの情報をかき集め数ある中古ショップからなんとか探し出し、定価5000円のもの新品100円で手に入れてしまった。新品のそれを手に入れた時は思わず心が震えてしまった。
僕は誰に取られるかもわからないゲームを脇に抱えながら帰路についた。
ショップから徒歩で10分。ようやく家に到着するとすぐさまパソコンを立ち上げゲームの世界へとダイブした。
まずは一般のゲームの如くサクサクプレイで進んでいき、装備やスキル、仲間を揃えていきストーリーを進めると序章は完全攻略。だが、一章をクリアしようとしたその時、僕はすでに「死のループ」に入り込んでいた。いくら隠しコマンドや特定のクリア方法を試してみようものならゲーム自体が落ちてしまう始末。僕はなんとかしてシステムの穴に入り込みバグが発生しないようにシステムを組み直した。すると突然パソコンの画面が光りだし、僕は光とともにパソコンの中に吸い込まれてしまった。
「こ。ここは、、、、。僕は確か・・・。」記憶はふんわりしてはいるが鮮明に覚えていたこの景色で僕はこの摩訶不思議な状況を一瞬にして理解した。
僕は今、「FOM」つまり伝説のクソゲー、「ファイターオブメモリー」の世界に迷い込んでしまったらしい。
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