赤い服

@mugens

第1話 赤茶色のクワガタ

「うるせぇなぁーなんだよ!」


窓の外を見ると夏休み中なんだろう、子供たちの遊び声がする。


「子供は休み多くていいなぁー」


俺は、昔からの夢だった、美容師になった。

理由は、モテそうだったし、髪に興味があったからだ。それに、なんかラクできそうだったから…


でも、現実はちがった…

休みも少ない、休憩もゆっくりできない、労働時間長すぎ、めんどくさい客も多いし…

言い出したらきりがない。


今日は、やっとの休みだ、でも、何もしたくない。身体を休めていたい、そんな毎日で遊ぶこともなくなったなぁー


趣味でもあれば楽しみも増えそうだけどな!

全然ないや、飽き性ですぐ飽きちまう。


子供の頃はなにしてたっけ?


ふと、窓の下をみると、さっきまでいた子供達がいない。


「なんだ、もう帰ったのか?」


と思いながら、見ていると、虫あみと虫かごが落ちていた。

あらら、忘れちゃったんだな。

昔は俺もよくクワガタ捕まえに山にいってたっけ?

クワガタの大アゴカッコいいんだよなぁ!


そうだ!かなり久しぶりだか、クワガタ捕まえにいくか!

なんだか、ワクワクしてきた!

でも、この辺にクワガタいたっけなぁー?



「あ、いつもの山いくか!あそこは俺の穴場なんだよなぁ」



日も暮れ始めた頃、いつもの山に向かった。


クワガタを探しに山の奥まで行った頃

赤茶色のクワガタが樹液に沢山いた!


ノコギリクワガタのメスかなぁー?


と、さらに近づいてみると、ノコギリクワガタ?のオスだと思う。

でも、おかしいのだ。


そこにいたすべてのクワガタの大アゴがキレイに抜けていた。


「なんだこれ、ケンカでもして折れたのか?」


でも、こんな見事に折れるか?

もし、折れても片方とかじゃね?


異様な光景にゾッとした。


気味が悪くなり、帰ろうと思ったとき、後ろで音がした。


「ガサ、ガサ、ガサ」


振り返ると、何もいない。

動物か、クワガタ取りに来た人でも、近くにいるのか?なんて考えながら、辺りを照らしていると、木に赤い服が見えた。


よく見ると、女子高生の制服だと思う。

それも、近所の高校の制服だ!俺はよく見てるから知っている。


本当に、ここは不気味な場所だ!

なんか、ヤバい気がする。


急いで帰ろうと振り返ると、また


「ガサ、ガサ、ガサ」


と音がした。


今度はハッキリと後ろから音がする


振り向いたらヤバい気はしたが、気になって振り向いて見た。


そこには、さっきの赤い服を着た何かがいた。


そこには、顔が腫れ上がり顎がぶら下がった髪の長い何かがいるのだ、何かぶつぶつ言っている。


「ゆ い」


「るさ 」


「おま もおな 」


ヤバい、ヤバい、震えながら、逃げ出そうと足を動かした時、


「ゴキッ」


膝に何かが当たった。


そこには、小さな女の子がいた。

顎が外れている。

俺の膝が当たって折れたのか?


いつもの感覚が膝に残ってる。


そんなことは、どうでもいい!

逃げないと…?


顎に冷たい感触がした。


「あ、駄目だ、逃げきれない」


俺の周り、囲まれてる、何人いるんだ?


「あ、しまった、ここ俺のいつもの穴場だ」


後ろで声がした。


「ゆるさない」

「おまえもおなじめにあわせてやる」


「ゴキッバキッグチャ」


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