「BULLY ブリー」(青春/サスペンス)

 今回、紹介する映画は実際にあったドス黒い事件を基にした映画で、過激かつ陰惨な内容です。

 紹介するか躊躇いましたが、世の中には、目を逸らしたくなる事件や出来事が沢山ありますので、あえて、この映画を反面教師的な意味で紹介します。



「BULLY ブリー」(2001 アメリカ・フランス 111分)

監督 ラリー・クラーク

脚本 ザカリー・ロング、ロジャー・プリス

原作 ジム・シュッツ著『なぜ、いじめっ子は殺されたのか?』

出演 ブラッド・レンフロ、ニック・スタール



 この映画は実際に起きた「ボビー・ケント殺人事件」を基にした作品である。


 常日頃から口が悪く、暴力的で横暴な態度の友人を持つ主人公。

 だが、ある日、あまりにも度の過ぎた行動をした友人に、とうとう主人公は怒りが抑えられなくなる。

 そして、ガールフレンドの言った「(友人を)殺すしかない」との言葉で、友人を殺害することを決意。

 主人公とガールフレンドは殺人計画実行のため、知人や仲間達を集める。彼らは遊びに行くような感覚で参加する。

 更に自称・ギャングの若者をアドバイザーとして呼び、本当に友人の殺害を実行するのであった……。



 監督はラリー・クラーク氏。彼が手掛けた作品は「KIDS/キッズ」(1995)、「ケン・パーク」(2002)と、未成年の暴力、セックス、ドラッグ事情などの過激な暗部を描いてきた。


 相手がどんなに最低な人間であっても、人の命を奪うという行為は、絶対やってはいけないことである。

 いくら憎くかったとしても、人の命を奪ったという事実に恐怖と罪悪感がジワジワと襲い掛かってくる。遊び半分で協力しただけでも、殺人に関わった以上、絶対に罪から逃れることはできない。

 そういう命の重さをわからず、自分の犯した罪に動揺する若者達の姿が、この映画では生々しく描かれている。


 計画に参加した少年達は、普段、大人ぶって酒、セックス、ドラッグを嗜んでいた。

 しかし、自分の犯した罪の重さに気づき、取り乱して騒ぐ姿は、本当にただの子供だった。

 また、自称ギャングの男は成人だったかもしれないが、ギャングを名乗って見栄を張っているだけの子供だった。


「人の命を奪った以上、未成年であっても許されない」


 かなり過激で陰鬱な作品だった。

 実際に起きた事件と言うことに、吐き気を感じずにはいられない。

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