　人にはいろんな性癖、フェチがありますよね。

　今回はそんな映画を紹介。

「冨美子の足」(2018　日本　81分　R15指定)

監督、脚本　ウエダアツシ

原作　谷崎潤一郎

主演　片山萌美、でんでん

　主人公・冨美子は世の男性達を狂わせるほどの美脚の持ち主である。だが、彼女はその脚のせいで、なにかと人生が狂っていた。

　ある日、異常なまでの脚フェチの大富豪のじいさんに(脚を)気にいられ、遺産を譲ると言われ、愛人関係となる。

　そして、更にそのじいさんの甥っ子によって、自分の脚を再現したフィギュアが作られることになる。

　狂った脚フェチ共のせいで、人生が混沌と化した女性を描いたエロティック映画。

　何故か、自分の脚のせいで自分の人生が次々と狂って行く女性と、異常なまでの脚フェチたちの姿を描いた映画。

　狂気じみた脚フェチたちの姿は、もはやシュールな笑いを通り越してグロテスクの領域である。

　チキンの骨をむしゃぶるように脚を舐め続ける男性陣の迫真の演技と、自分の脚のせいで人生が壊れ続けることに正気を失って行く冨美子の姿は、まさにホラーである。

　生まれながらにして、美脚を持ってしまった冨美子。

　他人よりも恵まれてしまったが故に、普通に人生を歩むことが出来なくなった哀しみを感じた。

「冨美子は美脚である」

　たった、それだけで冨美子自身を含め、多くの人間の人生が狂ってしまったカオスの極みのような映画だった。

　それにしても、俳優のでんでんさん。「冷たい熱帯魚」(2010)でのサイコキラー役といい、今の日本で静かにイカれた爺さん役をやらせてたらトップなのでは？

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