出会い
異郷の地を歩く朝。
昨日は周りが見えていなくて気づかなかったが、すごい見られている。
多分、というかほぼ確実にこのジャージのせいだろう。
給料が出たら現地の服を買わなければ。
ギルドに着くと、出勤時だからか、昨日よりも人が多く見えた。
人混みを泳ぎ、やっとの思いでマキさんの所までたどり着く。
「昨晩はよく眠れましたか?」
「えぇ。」
「それは良かったです。早速仕事についてなのですが、探索の仕方をソロとパーティー制で選ぶことができます。ですが問題があって…」
「問題…ですか?」
「はい。もし、パーティーに所属する場合、入会を受け入れてくれるパーティーがひとつしかないんです。異世界から来たゴーレムを持たないヒョr、細身の新人なんて、まともなパーティーからは断られてしまって…」
マキさんにディスられたような気がするのは置いといて、確かに1人で潜るのは不安が多すぎる。始めのしばらくだけでも、誰かに頼りたい。
「その1つというのは、まともじゃないんですか?」
「いえ、最近できたので私も良くは知らないのですが、他のパーティーに入れなかった方が1人で作ったパーティーなので…報酬配分についての問題もありますし、1度会って検討してみてはどうでしょうか?」
俺以外にもそんな人が…
「そうします。どこに行けば彼に会えますか?」
「彼はいつもギルド正面の酒場にいるそうです。名前は確か、ディルックさんです。」
酒場に行くと、昼間だからかほとんど空席で、すぐにグラスを覗き込んでいるディルックさんを見つけることができた。
「すまない。あなたがディルックさんで合ってるか?」
「え?おうそうだ。もしかしてパーティー入会希望者か?同士よ、ようこそ「探求」へ!!」
ディルックさんが思っていたより友好的な事とコミュニケーションのマシンガンに少し動揺する。
見たところ俺より3、4歳年上だ。
「いや、まだ決めてはないんだが実際に会って考えて見ようと思ってな。はじめまして。伽耶だ。」
「あぁ、はじめまして。」
手を交わす。
悪いやつには見えないが…
「失礼かもしれないが、1つ質問してもいいか?」
「どうぞ。答えられることなら。」
「どうしてディルックが、他のパーティーに入れなかったかを知りたいんだ。」
「あぁ、その話か。」
悲しんでいるような怒っているような雰囲気を感じる。
「俺は、探索をする目的が合わなかったんだ。」
「と、言うと?」
「1度は他のパーティーに入ったさ。でも、金のためだけに潜っているヤツらとは意見が会わなかったのさ。」
「なるほど。なんとなくは分かったが…じゃあディルックはなんのために潜っているんだ?」
「それは、創造者の真実にたどり着くためさ。」
創造者。この世界を創った者。そして、このゴーレムの所持者だといわれている者。
「俺は、研究者としてここに来た親父についてここに来た。そして、親父は研究を通して、このゴーレムが創造者の物であるという結論にたどり着き、ゴーレムの中心部に到達することで、創造者の全てを知ることができると考えたんだ。だから親父は、探索者としてゴーレムに潜りながら研究を続けた。そして3年前、親父は仕事に出て、帰って来なかった。」
「そうか、それでお前が。」
「そうだ。親父の意志を継いで探索者になったんだ。だから、前のパーティーで、活動方針について意見が対立しちまって。おかげで変人扱いだ。親父に着いて行って潜った時に色々教わったし、前のパーティーでも何回かは潜ってるから、腕は申し分ないと自負してるよ。」
なるほど。
やはりこいつは悪い奴じゃない。
断言はできないかもしれないが、少しくらい信頼しても良いと考えた。
しかも、「探求」するという意味では考え方も似ているのかもしれない。
「そうか。辛い話をさせてすまなかった。」
「いや。自分から話したんだ。まぁ、考えといてくれよ、パーティー。」
「いや、俺、「探求」に入る。何も知らないが、これからしばらくよろしく。」
そして俺は手を前に出した。
「本当か…?こちらこそよろしく!!俺の事は、気軽にディックと読んでくれ、パーティーメンバー第1号!!」
さっきよりも重く、厚い握手。
こうして俺は新たな世界で「仲間」を手に入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます