小人

 そのトマ星人は、まる一日にわたって、日本について教え込まされた。彼は今度、地球の日本というところについて、調査しに行くことになってるのだ。

 しばらくのち、彼は、地球の日本についた。なんせ、彼の種族は小人。宇宙船だって、ほんの十数センチほどしかないのだ。

 とりあえず、ここまでたどり着けたんだ。ちょっと一休み。

 彼は床の間に降りた。たしか、置物とか掛け軸とかいう、眺めるだけの物を置くところだ。ならば、安全だろう。

 外部モニターで、日本人の生態でも観察してみながら、一休みしよう。


 ところが、彼の計算違いだったのは、この家の主人が、少数派なので教えられていない、大の愛煙家だったこと。


 やがて主人がやってきて、どっしりと胡坐をかいて煙草を着けようとすると、灰皿がない。探すと、床の間には宇宙船が。それに手を伸ばし、

「あったあった。しっかし、どうなってんだ。灰皿が上下組み合わさって、外れない。おーい、誰かノミと金づち持ってこい」

 主人、宇宙船を二つ合わさった灰皿にしか見えてない。道具を持ってこさせると、強引に二つに切り裂く。


 あらわになった船内の隅で、トマ星人は大声で泣き始めた。

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