小さきものの戦い方

シヨゥ

第1話

 大きな岩もぶっ叩けば欠けるように小さい欠片の集まりでしかない。

 つまりはどんなに相手が大きく見えていても小さいものの集合体でしかないのだ。そこに勝機がある。

 つまりは戦うならば局地戦だ。局地戦で1つや2つ勝ちを拾っておけば大戦で負け、飲み込まれたとしても面目が立つのだ。逆にその点を責められてネチネチ言われる可能性もあるが気分が違う。

「お前たちには俺たちは勝ったことがあるのだぞ」

 とはっきり言わないまでも言えるというのはスッキリする。

 ではどこを攻めるのか。これは相手の中で小さくまとまっていて全体との結合が荒いものだろう。つまりは切り捨てても構わないがあったら便利ぐらいのところを徹底的に攻め立てる。

 図体がでかくなればなるほど面倒が見きれなくなりそういう粗雑に扱われている部分が必ず生まれているはずだ。

「ここだな」

「そこしかないですな」

 徹底した情報収集と分析の結果、目標が決定する。

「各方抜かりなく」

 頷き合うと皆が立ち上がる。

「皆の物、作戦は決まった」

 広間に集まった500余の男たちにそう告げる。

「いざ出陣!」

 御家を守る、家族を守る、そういった各々の胸の思いが「応」との声を生み屋敷を揺らす。当家最大の危機はまだ始まったばかりである。

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小さきものの戦い方 シヨゥ @Shiyoxu

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