BOX
にゃんちゃん
1
朝、目覚めると1日が始まる。寝たままに始まるわけないし、当たり前なんだけど。
カーテンを開ける前から、日差しが差し込んでいて、今日はいつもより眩しい。
スマホは充電器に接続しっぱなしで、2回目のアラームがなる3分前だった。
トイレに行く、トイレは2階にはなかった。だから下に降りて行かなければトイレに行けない。起き上がるのも階段を降りるのもめんどくさい。ああ、漏れる。
アラームが聞こえる。マジで死ねよ。
階段を駆け上がった。通知上のアラームを指で弾く。
–停止
…スヌーズまで4:29
アラームを切って、再設定をした。
グダグダな朝は同じような怒りのルーティンから始まっていく。
ラインの通知は切ってある。スタンプ目的のよくわかんない友達リストは200件を超えている。その中からリアルの友達からのメッセージが来ているか確認をする。グループラインのおはようが3件入ってる。
「いま起きた、ヤバい」
僕はメッセージを送信する。
すぐ既読が2件ついた。
30秒待っても返信はこない。意味がわかんない。
下に降りよっと。
7時過ぎ、ご飯が用意されている。
何も言わず箸を取ってご飯を食べ始める。
綺麗に整った卵焼きはだいたい弁当の中にも同じのが入ってる。
「砂糖いらないって言ってるじゃん」
僕は母親に言った。
「ママはこれが好きなの、甘い卵焼きに醤油をかけると美味しいから」
母親は返した。僕もまずいって言っているわけじゃなくて、砂糖がなんとなく気に食わない。僕は卵焼きには何もかけないから。だから甘ったるい卵焼きに醤油をつけて食べていた。
「ほら、しょう君も美味しいしょ?美味しそうに食べてるじゃない。」
母親は続けた。
「ううん。」
僕は口籠もっている。確かに美味しいけど、美味しいって言って認めると負けみたいな感じがしてあんまりそういう風に褒めたくない。
「顔が笑っているぞ。本当は美味しいんだろ。」
父親が横から入ってきた。母親と僕の会話を入りたそうに、無関心にテレビを見ていた父親はここだと言わんばかりにドヤっている。
「うるさ。」
僕はニヤニヤしながら悪態をつく。
「じゃあ、お父さんはそろそろ行ってくる。」
父親は僕よりも先に仕事に行く。
でも決まって僕が来るまでは朝ごはんを食べようとはしなかった。
そんなに寂しいのか、僕はずっと小さい頃から思っている。
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