先生方! お口は少々悪いですね!

 先日の事。

 カクヨムで週間ランキングに12位まで上がった祝に知り合いの女性が作者にプレゼントにこんな本をくれた。


【文豪たちの悪口本】


 太宰治や中原中也、坂口安吾に織田作之助、菊池寛に、夏目漱石。芥川龍之介など錚々たる文豪たちの悪口を集めた本だ。

 早速、読んでみれば、ただの悪口だけではなくある意味、作品にすらなっている様相だった。

 読んでみて、まず一言。

 先生方!お口は少々悪いですね!である。

 しかし、ただの毒舌でもなく、その人のその人なりの正義や在り方、考え方がしっかりと浮き彫りになっているのが見えた。

 作者の読者歴はかなり浅い。

 まず、これらの文豪家の作品は実はあまり読んだ事はなく、本格的なのは実は【文豪たちの悪口本】が初めて。

 太宰治の【人間失格】やら、夏目漱石さんの【吾輩は猫である】も題名だけしか知らない。挙げ句の果ては志賀直哉と名前出されても「??」となっている作者である。

 太宰治の【人間失格】は映画があったので、まずはそちらでどんなものなのかと確認を取ろうとしたが、資料が悪過ぎてあまり参考にならなかった。

 最近活躍している女性監督らしいが、作者は


「何だよ。話の筋も見えねえ。アホか!この監督!!糞みたいな作品創りやがって!」


 と罵倒しながら1時間で根を上げた。

 ここでその監督の名前を書くと口撃してくる輩はいるからそれは出さないでおこう。出さなくても太宰治と人間失格の名前が出ている時点で勘の良い方は「あいつか」と名前は出るだろうとは思った。

 ちなみにその監督の作品なら、叩こうと思えばいくらでも叩ける駄作ばかりだから、はっきり言って、大人しくミュージックビデオでも製作してろと暴言を吐きたくなる。

 閑話休題。話がそれた。

 本題に入りますか。


 【文豪たちの悪口本】を読んで、太宰治や芥川龍之介などの文章にほぼ初めて触れたがまずは、読みやすかった。

 例えば、太宰治はどうしても芥川賞を取りたかったけど、川端康成の一言で取れなかったという部分。太宰治は川端康成に抗議文を書いている。

 川端康成は太宰治に対して


「なるほど、道化の華の方が作家の生活や文学観を一杯に盛っているが、私見によれば、作者目下の生活に厭な雲ありて、才能の素直に発せざる憾みあった。」(原文のままです)


 と評価されて、太宰治は大層ご立腹だった。この頃の彼はパビナールという鎮痛剤の中毒になっていて借金までしていた。その為にどうしても芥川賞の賞金が欲しかったのに、受賞は叶わず、私生活まで非難されて、そりゃあ頭に血が昇るわなと、微笑ましい感じを受けた。

 本人からすれば、死ぬか生きるかの瀬戸際なんだから微笑ましいどころの話ではない。そのために抗議文まで書いているのが凄い。

 むかしは勿論、ツィッターとかラインとかそういうものがある訳ないので、原稿にあげて書くか、手紙で自分の意見を書くしかないし。

 その悪口がまた、「ふざけんなー!」とかそんな程度の低いものではなくて、理路整然と、しかし確信をつくような文章だった。

 太宰治の【悶々日記】も笑える。笑ってはいけないが。

 あの当時から太宰治も今の時代で言うヘイトを買っていたんだと容易に推察出来る。苦しい思いをしていたのもわかる。

 中原中也も凄い。

 中原中也が初めて太宰治と出会った時の暴言が凄い。


「何だ、おめえは。青鯖が空に浮かんだような顔をしやがって」


 初対面の人にこんなことを言うとは、恐るべき度胸。

 写真ではなんともかわいい坊っちゃん顔だが、人は見かけにはよらないという事だろう。


「全体、おめえは何の花が好きだい?」

太宰治「モ、モ、ノ、ハ、ナ」

「チェッ、だからおめえは。」

(原文のままですよ)


 中原中也さん。あなた、永遠に太宰治に対して、こんなふうに絡み続けるでしょうねー。「だから、おめえはー(云々))と続いてそうな罵詈雑言ばかりだったよ。


 夏目漱石の人となりを読んだ時は「え、そうなの?」と想った。人格者ではあるが、一方で癇癪持ちで神経衰弱だったとは。

 この【文豪たちの悪口本】のことを書けば3話ぶんくらい書けそうだが、最後に私から私見たっぷりに一言。


 皆さん、色気ありますね。

 作家さんの写真も掲載されているので、思った。

 夏目漱石が、作者の推しのガンダムキャラに似ているのは気の所為ですか?

 もしかして、夏目漱石がモデル?

 夏目漱石のあの写真。マジで格好付けてますよね。

 中原中也もあんなベビーフェイスなのに、口が悪いとはギャップ萌えじゃないですか。

 太宰治は、当時からモテる男性だったのも頷けますわ。

 

「先生方、口は悪いですけど色気あるから格好良いです!」

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