ブルー・ハート

アカサ・クジィーラ

壱章

 私は恋をしたのかもしれない。そんな恋愛小説の冒頭にありそうなフレーズを語ったが、むろん本当かもしれない。


でも、本当に恋なのかは全くわからない。彼と同じ空間にいるだけで胸が引き締まる想いをしている。


様々な少女漫画、恋愛小説などを読み漁ったけど、この想いが本当に恋というものなのかわからなかった。


私はクラスの中心人物的存在、太陽のような少女だと昔から言われて来た。私が何もしなくとも、勝手に人が寄って来て、その対応をしているだけで私はこの状況に至った。


そこで、私が恋をしたかもしれない人、その人は全く私の世界とは真反対にいるようだった。いつもクラスの隅でぼーっと窓の外を見る。ああ景色綺麗だなぁと思ってるのだろうか、はたまた昨日のテレビ番組面白かったなぁと思っているのだろうか。


私は非常に気になってくる。彼のことをもっと知りたい。そう思うようになったのである。


 私が初めて彼のことを気になりだしたのは、高校2年の春である。私の学校では、高一と高二の間でしか、クラス替えは行わず、そこで文系組と理系組で分かれるのである。私は文系組、もちろん彼も文系組。クラス替えが一回しかしないということは、私の彼に対する想いは2年続いたということだ。


しかし、私のこの気持ちがわからず、グダグダと卒業の日までやって来た。それが真実である。


 私でも今まで何度か挑戦しようと思ったことは多々ある。しかし、すべて成功した試しがない。


むしろますます大迷宮の奥地で死にかけそうなところまで陥っている。他の友人にも何度か話を聞いてみようかと思ったが、それも敵わない。そんな今の友人を信頼しきれない。


では家族ではどうかと思えば、それも敵わない。少々面倒くさい母と父であるから。いつもしゃべりっぱなしの母、ずっと無口だがたまに口を開けるときは怒鳴るのみ。そんな両親に言えるのか、いや言えない。


これは恥ずかしさではない。


でも、このままだと心残りが溜まりに溜まっていきそうで生きづらくなるのではと思い始めた。


だから、私は彼に直接伝える。この心の中に何が入っていて、私が彼をどう想っているのかを理解するために私は彼に伝える。何かの告白をする。


 しかし、卒業式の3週間、大学入試をするために志望大学まで行く途中。私は急に頭が痛くなった。地球が回っている、いや私が回っている。


でも、すぐにそれは治った。原因がわからない。そして、私がふと前を見ると、私が立っていた場所が横断歩道の途中だと気付いた。そして、赤信号。右からやってくる車に気づかず、私ははねられてしまった。私はすぐに近くの人々、その運転手さんのおかげで病院へ行くことには成功した。


しかし、私はもうその中にはいない。その身体はもぬけの殻だ。私の魂が入っていない。


では、私はどこに行ったのでしょうか。答えはあの横断歩道である。私はそこに地縛してしまったらしい。そこでやっと私はわかった。


きっと恋をしていたって。


そう思えた時には、もう遅い。ここから離れることはできないし、最後に家族の顔も友人の顔も、そして彼の顔だって見ることは叶わない。私の恋は終わってしまったのか、答えは否だ。


それでも諦めない。地縛霊になってしまったけど、きっと彼はここに来てくれる。無駄にそう信じ込んでいた。いや信じ込まざるを得なかった。私の気持ちはわかったが、彼の気持ちを知ることはできなかった。


その想いが私をこの体にしたのだと神は告げているはずだと思った。私の想いが叶うときは来るのだろうか。

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