「仮宿探し ー神の審判ー」
みかんサムライ
ある男の話α
第1話
「よかったらこちらへどうぞ」
ゆりかもめに新しく入り込んだベビーカーを運んでいる女性と目を合わせ、手を上げすっと立ち上がる。隣に座る妻も私に釣られて立ち上がる。
「あ、ありがとうございます」
同年代とおぼしき女性がベビーカーと子供を引き連れ
会釈しながら空けた席へ二人が着席する。
「ほら、ケンタもお礼を言って」
ケンタ君は俺の目をまじまじと見たが、特に発声する様子はなかった。
「ごめんなさいね」
「いいんですよ。気にしないで下さい。今日はどちらに?」
「お台場で友人と会うんですよ」
「いいですね。私達もお台場なんですよ。今日はいい天気でなによりですね。」「ねー」
話が一区切りついたところで妻の方を見ると、俺の方を見て口をもにゅもにゅしている。俺の背は190cmあり、目立ってしまうからそういうのは控えてほしいとよく言われる。
でも、つい体が動いてしまう。
世の中には困っている人がたくさんいる。ちっぽけな俺に救える人はごくごく僅かだ。
目の前に困っている人がいて、少しでも俺がその人の役に立てるのなら、俺も救われる。
人を救えるチャンスは限られている。
俺は後悔したくない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます