ある使い魔の善行(2)

「おはよう、エンジェル。うちのお転婆小悪魔はどうしてる?」

「おはよう、ラブ。ふふ、ダイアナちゃんならもう出かけたよ」

「こんなに早くか? まだ六時だろう」

「今日はあの子と一緒に、朝、花壇に水をやるんだって。その後でランチボックスに詰めるサンドイッチを作ってあげるんだって、張り切っていたよ」

「はは。時々学校に遅刻している癖に、変なやつだな。しかし、もう一週間になるのか。突然そっちに泊まりたいなんて言うから驚いたが……迷惑になってないか?」

「迷惑なんて、とんでもない。ダイアナちゃんが善い行いをする一助になれたなら幸いだよ」

「善い行い、ね……。あいつ、自分が悪魔の仲間だってこと、分かってるんだろうか……」

「まあまあ。ダイアナちゃんは、ちゃんと分かっているさ。賢い子だよ。どうしたら未練を抱えて彷徨う魂を救えるか、ちゃんと知っていたんだから」

「その幽霊の未練を、代わりに全て叶えてやる、か。そんなんで本当に天国に行っちまえるんだから、人間ってやつは」

「素晴らしい、だろ?」

「ははは。天使サマには敵わないな。それじゃあ、そろそろ切る。夕方には顔を出すよ」

「ああ。その頃にはダイアナちゃんも帰って来ているだろうから、一緒に夕飯をとれるね。楽しみにしているよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る