ぼっちJKと海色の髪の不思議少女

ぼっち猫@書籍発売中!

第1話 海色の髪の少女

「私、関西人失格なのかな――」


 関西人。

 この言葉を聞いて、多くの人が「お笑いが好き」「話が面白い」「気さくに話しかける」というイメージを抱く。

 十数年生きてきて思うけど、実際関西にはそういう人が多いと思う。


 でも私・神戸七海(かんべ ななみ)は。

 人見知りだし、話すのが下手で面白いこともなかなか言えない。

 オチって何それおいしいの?


 そんな性格が災いしているのか、今日も私はぼっちだ。


 まあでも、そんな生活にももう慣れた。

 どうせ、この関西という地で人と交わり暮らすのは向いていないのだろう。


 だから私は、海岸へ向かう。

 私の住んでいる神戸で「海」というと、多くの人はメリケンパークやハーバーランド周辺を思い浮かべるかもしれない。

 ポートタワーや神戸海洋博物館などが並んだ「THE・神戸」といった写真が撮れる、観光地としても人気のあの場所だ。


 でも実は、私は須磨海岸の方が好きだ。

 須磨海岸は、JR須磨駅直結の海岸。

 駅から出ると改札の外には砂浜が広がっていて、その先には広大な海がある。


 海と駅がこんなにも近い場所は、海の多い日本といえど珍しいのではないだろうか?

 この、駅と海の距離が近いお手軽さも、高校生である私にとっては魅力の1つだ。


 私は疲れた時や1人になりたい時、しばしばこの須磨海岸へと足を運ぶ。

 砂と海の境目スレスレを何度も往復しながら、ぼーっとしたり考えごとをしたりする。


 ここではうまく喋れなくても、人見知りでも関係ない。

 誰も私なんて見ていないし、興味もない。

 この感覚がとても心地よかった。


 この日も私は、1人で海岸へと来ていた。

 いつものように、1人自由に羽を伸ばす予定だった。


 しかし――


 その日私は、目の前に現れた少女に目を奪われた。

 太陽に照らされた海のようにキラキラと輝く青い髪に、透き通るような白い肌。

 体の線の細さや身長から察するに、おそらく小学生くらいではないだろうか?


 少女は白いワンピース1枚を身にまとい、海の方を見てただ風に吹かれていた。


 ――あんな綺麗な髪、初めて見た。

 まだ顔さえ見えていないのに、後ろ姿しか見てないのに、不思議なほど惹きつけられる。


 気づくと、私は少女の方へ向かって歩いていた。

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