ハロル・ロイツェの華麗なる盲目的日常
ココナッツ
プロローグ
この世界には魔法がある。
色を認識。そこから想像し、魔力を乗せて現物を生み出す。
『色彩造形魔法』。それがこの世界の常識だ。
出産時に何よりも最初に行うことは魔力量調査であり、義務教育には絵画が組み込まれている。想像力が必須なこの魔法は、日常生活にも必須となっていた。魔法を応用した技術ばかりが使われており、それが無い生活は考えられない、といったところだ。
魔法以外の技術はあまり発展せず、遠くへの移動は馬車であり、医療機器だって高度な物はない。化学薬品など以ての外だ。視覚重視のこの魔法は、目に見えない物の発展をことごとく妨げた。
ある年、とてつもない魔力を持った子が生まれた。
常人の数十倍の魔力量、圧倒的な力は人々を震え上がらせる。だが、その後すぐに落胆した。
__彼は目が見えなかったのだ。
色彩造形魔法において致命的すぎる欠陥。人々はそれが分かった途端、彼を突き放した。父親ですら彼を見捨て、母と地道にささやかな暮らしをしていた。
そんな彼__ハロル・ロイツェの物語である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます