ケース・オフィサーもも

acht

case:鬼ヶ島謀略戦

第1話

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんとおばあさんは赤子を拾い、「もも」と名付けて育てました。

 ももは勉学に励み、知恵を使いおじいさんとおばあさんを助け、成人になるころには村長の補佐をしていました。

 ももが村長補佐を始めてから一年経ったころ、鬼の大群が村に侵略してきました。ももが避難指示をおこない、村人はなんとか逃げることができましたが、村は蹂躙され物資は奪われてしまいました。

 「ちくしょう!鬼どもめ!ぶっころしてやる!」

 「暴力はいけません。後に禍根を残します」

 ももは怒り狂う村人をなだめてから、腕を組んで考え始めました。

 (人間の力ではどう考えても鬼には勝てません。…しかし、このまま放置しておけばまた略奪しにくるかもしれません)

 考え事をしているももに村長が話しかけました。

 「ももよ、村人たちがなんとか持って逃げてきた財産を集めた。これで鬼をなんとかしてくれ」

 ももは一寸黙り込んでから首を縦に振りました。

 「……わかりました。なんとかしましょう」


 村長から鬼を懲らしめてほしいと依頼されたももでしたが、問題は山積でした。持ち逃げてきた財産だけでは兵を雇うことはできず、鬼に勝てるだけの武力を揃えられません。

 そこでももは犬、猿、雉に協力を依頼することにしました。

 「集まっていただきありがとうございます。鬼を退治に協力していただきたいと思い、お呼びしました」

 ももの言葉に、犬、猿、雉は驚きました。

 「無理だ!鬼に勝てるわけがない!」

 おのおのがわめく中、ももはコホンと咳ばらいをしました。

 「皆様には直接鬼と戦ってもらうわけではありません。ちょっとやっていただきたいことがあるだけです。お礼といっては何ですが、先払いできびだんごを差し上げましょう」

 「しょうがねえな、話をきいてやろうじゃないか」

 ももは動物たちに、やってもらいたいことをお願いしました。


 「というわけで、各々方お願いいたします。一か月後にまたここで落ち合いましょう」


 ももがそう伝えるとそれぞれは散っていきました。

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