星になったガリレオ先生

穂高 萌黄

第1話 困惑

  地動説を唱えたばかりに重刑に処され、軟禁生活を続けながら病と闘っていたはずが、どこも痛くない。ここはどこだ?見た事のない風景に戸惑いを隠せない。数えきれない程の人が道を行き交い、道ではない所にはパズルのように隙間なく建物が建っている。とんでもないスピードで大きな金属の箱のような物が通り過ぎていく。自分とは違う、黒い髪、黒い瞳の人々はその恐ろしい箱で移動し、ケーキのような建造物の中へとそれぞれが吸い込まれていく。

 それでも狭い空は青く、東から太陽が昇り西へ沈んでいく。少し安堵した。自分が生まれ育った星には間違いない。異国にいるのだ。誰か言葉の通じる人はいないだろうか。助けてくれる人がいなければ、帰る事もできない。いや、むしろこのまま逃亡してしまったほうがいいのだろうか。いずれにしても、助けてもらわない事には、目の前には空腹という問題がどーんと立ちはだかっていた。

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