第36話 美しき自然への還元
小さい頃から大好きなのは「のばらの村のものがたり」。読みまくったのはもちろんのこと、本を広げて何度も模写した。
春のピクニック、夏の結婚式が特に好き。自分の趣味嗜好はこの時点で作られてしまったのではないかと思う。水車小屋の粉挽き、用意されるお料理、花溢れるシーンのあれこれ。再販されたコンプリート・ブックはもちろん買った。
ネズミが好きなのかと聞かれたらそれはどうかだかはっきりしないけれど、ミス・ビアンカシリーズもほぼ読んだし、彼女がドールハウスに住んでいるという設定は当時衝撃的で、もしかしたら私のドールハウス熱を後押しする要因になったかもしれないと思ったりもする。
さらには「ネズミの騎士デスペロー物語」。これも好きだ。やはりネズミの大きさが、感情移入する上で大きいのかもしれない。余談だがデスペローは本の形態が良い。ページの端がギザギザのアンカット製本。これが良い。思わずにやけて胸に抱きしめたい程にくるものがある。
それはさておき、そんなわけでネズミに夢中だった私はピーター・ラビットを読んでいない。別に毛嫌いしているわけではないし、うちの庭に来る野ウサギ達は可愛いと思っている。けれど今更コレクションするつもりはない。
しかし、たまたまイギリス旅行記を読んでいて知った作者ビクトリア・ポターの話、これにはいたく感動した。彼女は売上金で広大な土地を買い、その自然を守ったのだ。それはナショナル・トラストに寄贈され、おかげで私たちは
物語を書いて、自然に還元する何かを生み出す。こういう生き方をしたいと思った。うち震えるくらい感動した。遅れてやってきたウサギは寡黙だったけれど、大きな何かを残していった事は間違いない。
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