夢か現か、欧州びいきのロングアイランダーはかく語りき
クララ
第1話 今では人種のサラダボウル、多文化主義へ
アメリカは建国から今年で246年。溶け合って1つになる人種のるつぼ時代を超え、各自の背景(文化)を大事にする人種のサラダボウル時代へ。
私がブルックリンに住んでいた頃、そこはNY最大のラティーノコミュニティーだった。
自宅アパートメントの周りにはプエルトリコの旗が掲げられ、最寄駅を降りれば聞こえるのはもっぱらスペイン語。改札を抜ければ、砂糖をまぶしたチュロスにカットしたマンゴー、1ドルで十分に帰り道のおやつは調達できた。
夕方の歩道ではテーブルを出したオヤジたちがギャラリー引き連れバックギャモンに燃えていたし、週末には大音量のラジカセが外に出されてみんな踊ってた。
私が日焼けした手足をさらけ出し、長い三つ編みを前に垂らして買い物に行けば、メキシカンのママたちはスペイン語でしか話しかけない。それでも2ブロック先は巨大なチャイナタウンだったから、そちらに繰り出せば、もちろん第一声は中国語になる。相手が誰とか関係ない。なんともおおらかというか適当というか。店番のティネイジャーたちは多くが英西中のトリリンガルだった。
まさにごった煮の界隈で、私は機嫌よく暮らしていた。チャイナタウンの端にはトルコフードのスーパーがあって、甘いものは得意ではないけれど、時折トルコ旅行の思い出を求めてバクラバを買った。羊肉を挽肉にしてくれるカウンターに並ぶ人たちを見るのも好きだった。店の隣はモスクで、今でもお気に入りの綺麗な絨毯はそこで買った。
あの日からもうずいぶんと長い時間が経過し、私はすっかりロングアイランドの白人社会に馴染んだけれど、今度はここに西アジアの風が吹き始めて密かにワクワクしている。
私たちのアメリカは、さらなるスパイスを求めて進化する。
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