女神の力で死体さえあれば何でも再現できる最強チートスキル『レディメイド』を手に入れた猫耳の俺より、俺の美人メイドが無双する件
第35話 新たな世界へ!目覚めた先で出会ったのは、なぜかエルフの姫様だった件
第2章 蛇と蛮族の世界
第35話 新たな世界へ!目覚めた先で出会ったのは、なぜかエルフの姫様だった件
「成果をいただこうか」
「ああ、そういえばそんな話だったな。俺のこのスキルは、彼女の加護とやらで強化されている。その代わり、俺は彼女に行く先々の調度品を手渡す」
「ほら、この中から選んでくれ」
俺はアイテム欄からカタログを取り出し、彼女に手渡した。まあめぼしいものと言えば、エルフの秘宝やドワーフの秘宝だろう。あらかじめアイテム欄から出して、雲の床に置いておこう。彼女はまるで興味なさげにカタログのページをぺらぺらとめくり、そっと閉じて俺にカタログを投げ返した。
「今回は外れじゃのう。まあ、その宝と男を頂こうか」
「男?」
俺は彼女の問いかけに、アイテム欄から使えそうな男を数人取り出した。ラプター王と、ダグラス、奴隷商人だ。すると彼女は真ん中の優男を指さし、それ以外いらないと、指を鳴らした。するとダグラス以外は頭部を爆発させ、体もろとも消滅してしまった。
「な、なんだここ」
偽のダグラスは見たことのない景色に驚き、目の前の女性、女神メルクリウスの力を見て驚き慌てている。だが彼女はそんな彼に笑顔で来い来いと手招きをしている。「見た目もそうだが、こいつのスキル興味がある」
逆らえないように潮にひかれるようにダグラスが彼女の方へ歩いていく。「お、おい、ここは一体。レディ、メイド‼ ここは一体。エレンも悲しんでいるぞ!」問いかけてくる彼に、俺は少し驚いた。ここでも異世界にいるダグラスと意識がつながっているのか。
「ほっほっほ。意識があるというのは良いのう」
彼女の面前まで自分の意志とは無関係に歩み寄る彼の顎を、彼女はなぞるようにそっと触れた。
「あ、あんたは」
「ふふっ、知る必要はない」
彼女は問いかけるダグラスに、まるでケーキの蝋燭を消すように甘そうな吐息をふっと吹きかけた。するとダグラスは意識を失い、糸の切れた操り人形の様にその場に崩れ落ちた。殺したのか?
「殺してはおらんよ。リンクを切っただけだ」
「リンク?」
俺の問いかけに彼女はダグラスに手をかざし、意識を回復させた。まるでエレンみたいなスキルだなと、俺は彼女の姿を見て思った。そしてゆっくりと床に手をついて体を起こすダグラスが、「なんなんだ」と首を横に振って頭を片手で抑えて立ち上がった。その姿を見た彼女が、「気分は?」と笑って問いかけた。
「城にいる、俺の意識が……いや、死んだのか?」
「死んではおらん。ピンピンしてるよ」
メルクリウスはそういって指を鳴らし、雲の床から巨大なテレビモニターを登場させた。その画面には、城で困惑して泣きわめいているエレンを慰めるダグラスや彼女の父母たちの姿が映っていた。
「すげ、何そのスキル」
「昔手に入れてな、便利なんでよく使うんじゃ。これで分かったであろう。お主はオリジナルとリンクを切った。これでこちらの状況は向こうには届かない」
へー、俺も欲しいなそれ。そう思って彼女を見てると、「モニターならば作ればよかろう」と笑ってこちらを見ている。確かにそうだな。俺は彼女の指摘を受けて、「レディメイド」とスキルを詠唱し、素材を消費してモニターを一つ作り出した。そして後悔した。だって素材10も消費するんだもん。
「これはそこらの雑兵のような宝と違うのでな」
彼女はそういってダグラスに、俺が床に置いた宝を拾わせている。
「これは中々……。褒美をやらなければな」
褒美ならスキルをコスパ良くしてくれ。なあ、メイド。そう思って周囲を見たら、メイドがいないことに気が付いた。それに彼女の傍に、俺が以前手渡したメイド15号がいないことに気が付いた。
「あれ、メイド壊れた?」
「いや、おる。ただ別途用事があるらしく、おお、噂をすれば」
俺の背後を指さし、メルクリウスは「用事は済んだか?」と髪の長さやメイド服のスカート丈などは異なるが、ほぼ瓜二つな容姿のメイドたちに声をかけた。長髪の方は綺麗に畳まれて積みあがった衣類を手に持っている。すると短髪のメイドが、「ええ。十分な衣類を確かに受け取りました。ご苦労」と少し上から目線で彼女の質問に答えている。衣類?
「レディの服です。汚れにくいとはいえ、そればかりでは嫌でしょう」
そう言って彼は長髪のメイドが持つ衣類を俺のアイテム欄に収納させた。
「ほっほっほ、相変わらず変なところに拘るのう、なあ、」
「その名は捨てました。今はメイド。それ以上でもそれ以下でもありません」
「それもまた一興」
メルクリウスは手に毛皮のような扇面を持つ扇を手に持ち、口を隠して笑っている。メイドは不機嫌そうにため息をつき、「なぜ彼が?」とダグラスの方を見た。・ダグラスは俺もわからないと肩をすくめるも、メルクリウスは「わしが貰った整理整頓に便利そうなんでな」と楽しそうに笑みを浮かべている。
「そうですか。ではメルクリウス、この空間から早く抜けさせていただきたい。不愉快だ」
きつい口調でメイドはメルクリウスに問いかけ、目を鋭くとがらせる。その姿と対極の彼女は演技ぶったように「おお怖い」と呟いた。だが手に持っていた扇を後ろに放り投げ、「レディ」と俺に声をかけてきた。
「次は通称、蛮族の国。楽しみにしておるぞ。報酬も目覚めたら傍にあるであろう」と俺の足元の方に手をかざし、また落とし穴に落とすように、俺を雲の下に突き落としてしまった。
「またかよぉ!」
「大丈夫です」
メイドが俺の体を包むように抱きしめ、まだ見えぬ地面への衝撃に備えている。頼もしいが、この内臓が浮き上がる感覚は苦手だ。
やはり目を覚ましたら、また俺は地面におねんねしていた。だが何か枕の上だろうか、柔らかい感触が頭に感じている。目を覚ました俺に気が付いた誰かが、「よかった」と声を漏らしてこちらを覗き込んできた。いつものメイドより少し声が高い、見覚えのある彼女は俺の顔を見て、嬉しそうににこりと笑った。淡い金髪に横にとがった耳、目鼻立ちの整った顔。白磁のような美しい肌。思わず俺は彼女の頬に手を伸ばし、滑らかな頬を指で触れて「エレン?」と問いかけた。
「はい! 貴方のエレンでございます」
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