ここみちゃんの事件簿

中崎ネル

プリン

お風呂あがり、私はとっておいたプリンを食べようと冷蔵庫の1番上のドアを開ける。が、

どこにもプリンが見当たらない。

おかしい。朝はあったのに…

念のため、他の部分を探すがやはりない。

誰かが食べたなら、ゴミがあるはず。

そこで私はゴミ箱を見た。

すると、私の考えが的中。ゴミ箱の中に「ここみ」と油性ペンでかかれたプリンの容器を発見した。

誰が食べたの!楽しみにとっておいたのに!

たかが、3個1セットの安いプリンかもしれないがここみにとってはとても大事なことなのである。

しかし、運がいいことに今日は金曜日。ここみの家族は毎週金曜日に家族会議を行なうので、そこで、問い詰めることが出来る。

ぜっっったいにプリンを食べた犯人をみつけてやるんだから!

プリンを食べた罪は重いのである。



家族会議が始まる前に家族の説明をしておこう。うちの家族は5人と犬のエマが1匹。


お父さん(42)サラリーマン

お母さん(40)専業主婦

お兄ちゃん・玲(中3)受験生

私・ここみ(小5)被害者

弟・真(小1)末っ子

エマ(4歳)犬

つまり、容疑者は4人。

朝の時点ではプリンはあったので、お母さん、風邪で学校を休んだお兄ちゃん、私よりも帰る時間が早い真が怪しい。


さぁ、みんながテーブルに集まったところで捜査開始だ!


「私のプリン食べたの誰!?」

「はっ?プリン?」

はじめに反応したのはお兄ちゃんだ。学校を休んだわりに元気そうでなによりである。

「お父さんは食べてないぞ」

「私も知らないわよ」

「ワン!」

「真は?」

と聞くと

「僕食べたよ」

「えっ!」

早くも犯人が見つかった。と思われたが、

「違うでしょ、真。プリンはプリンでも今日のおやつのプリンのことじゃないの」

とすかさずお母さんが否定する。否定が早すぎる気もするが。

と思いつつ羨ましい。

「美味しかったよねー、お母さん」

と真が無邪気に私の心をグサグサに刺す。

真だけではなく、お母さんも一緒にプリンを食べたのか。

あぁープリンを食べたいよー。

でも、まずは捜査でしょ、ここみ。と言い聞かせて立ち直る。

「みんなこれ見て」

と私がテーブルの上に置いたのは、「ここみ」とかかれた空のプリン容器。

「それが食べられたやつ?」

「そう。でもおかしいの」

「おかしい?」

「うん。だってこの字、私の字じゃないもん」

「「「つまり、どうゆうこと?」」」

「この事件には、私がここみと字を書いたプリンを食べた犯人と、その犯人が置いた偽ここみプリンを食べた犯人、つまり、2人の犯人がいるの!」

「「「えっ!」」」

私も最初はプリンのメーカーが同じなので気付かなかったが、空のプリン容器の字は私の字ではないのである。


この事件、思ったより複雑なのである。


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