転生したら物語の続きを任されました

中崎ネル

第1話 転生ってやつをした

コンビニからの帰り道、目の前に迫る車の眩しいライト。

あぁ、わたし死ぬんだ…。意外なことに、わたしはあっさりと死を受けいれた。そして、すごい衝撃音と共に意識が遠のいていく ——————————————。





暗闇の中で唇に何かが触れる。

(なんだろう…)と考える隙をわたしに与えずに、その感触がなくなると、いっきに意識が引っ張られる。


(うぅ、眩しい)

目を開けると、あたたかい春の日差しと青空が広がっていた。

あれっ? わたし生きてるじゃん。

死の覚悟とかしたのに恥ずかし。

それがまずわたしがはじめに思ったことで。

次に思ったことは、

ここが森の中だと言うことと、

わたしが横になっていた場所は、透明な棺?で、左には整った容姿でさらにThe王子の格好をした男性が立っていて、さらに小さなおじさん?がいた(しかも複数人)。

つまり、今わたしヤバいです。

「目を覚ましたのですね!白雪姫」

と王子が喜んでいる。

「やったー!」「生き返った!」「よかった…」「白雪姫…」「バンザイ!」「ヒャツホウ!」

と周りの小さなおじさん達も喜び、踊り出す。

ん? さっきから『白雪姫』って聞こえるんだけど気のせいかな…。

いや、でもそう考えるとこの不可解な状況に説明がつく。

私が着てるドレスだって、The白雪姫だし…。

とドレスを見つつ、思ったことは、

もしかして、わたし白雪姫に転生しちゃった!?

そう思うと、頭の中に次々と記憶が詰め込まれていく。

頭痛い…、ガンガンする… うぅ。

頭を押さえても止まらずに記憶が流れ込む。

「白雪姫、大丈夫ですか?」

違う。わたしは白雪姫じゃないよ、王子。

と言いたいけどあぁ、目の前の王子が見知った顔になっていく。

そして、

「具合が悪そうです。早く、僕の城にいきましょう」

と言われ王子にお姫様だっこをされる。

おわっ!?





そして、わたしは重大なことに気づく。

待って、白雪姫の物語って王子の愛のキスで目覚めたんじゃなくて、中身が入れ替わってたってこと? 知りたくなかった…。夢壊されたよ…。


ん?ってことは、わたし目覚めるとき、この王子とキスしたってこと!?たしかに、目覚める前になんか唇に感触あったけど!

それよりも、このままでは王子と結婚するってことじゃんか!?


二回目の人生はまだまだ始まったばかりなのである。


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