第35話 オクト

「そこだ! セプテン!」

「かわせ! オクト!」

 ヒサノリとコウスケのカンサが戦っていた。

 もちろん、イマジン空間の中で。

 明らかに本気で戦っていない。時間が過ぎていき、マモノが現れた。カマキリのような見た目。

 そこへ、アラタが現れる。イマジン空間を遠くから見つけ、やってきたようだ。紫のドームは、10階建ての建物よりも高い。

「マモノか。カンサ・ジャニュ!」

 ためらいなく、アラタはカンサを召喚した。剣を構えるジャニュ。そして、ジャニュの攻撃でカマキリのようなマモノは倒された。

 爆発が起こる。

「戦いをやめようぜ」

 しかし、アラタの提案は受け入れられない。

「やれ。セプテン」

「オクト!」

 二人がかりで攻撃されるジャニュ。アラタは、まったく想定していなかった様子。

「なにすんだ!」

「答える義理ぎりはない」

 ヒサノリは冷たい。

「とどめです」

「恨むなら、自分の行いを正せ」

 絶体絶命ぜったいぜつめいの場面で、ササメがやってきた。

「いきなさい。カンサ・ジュラ!」

 高い金属音がこだまする。ジュラが、槍で攻撃を防いでいた。寸前のところで助けられるジャニュ。

「ラストアーツ!」

「ラストアーツ!」

「ならば、ラストアーツ!」

「ぼくも、ラストアーツ!」

 横一文字斬り。一点突き。ゴルドスラッシュ。敏速鉄拳。

 それぞれのラストアーツがぶつかり、大ダメージ。

 アラタとササメは、たまらず撤退していく。


 アラタの仕事場。カフェ。ロイヤルパルス。

「いらっしゃいませ」

 その客は、不愛想だった。ショートヘアの女性だ。

 突然の雨にうたれ、すこしだけ濡れている。

 席に座り、注文はすぐに行われた。

「コーヒーを」

 短い言葉で、コーヒーを頼む客。

 ほかの客はいない。

 カフェのマスター内藤ないとうナオツグは、特に何も言わなかった。

 すでに、天気は回復していた。晴れ間がのぞく。

「変な天気ですね」

「私なんかに構っていて、いいんですか?」

 妙なことを言う客。

「それって、どういう――」

「私の名前は、田中たなかハナコ。顔見せよ。近いうちに、また、ね」

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