第28話 セプテン

 街で、ミズチとばったり出くわすアラタ。

「なんで、ここに」

「帰り道だ」

「あっ。アラタ。と、ミズチも」

 そこへコハルもやってきて、三人で気まずい時間を過ごした。

「コハルもかよ」

「そうか。友達の」

 ミズチは挨拶をしなかった。軽く頭を下げるコハル。明るい笑顔でたずねる。

「なになに? 二人とも、あたしに隠し事?」

 そう言われても、二人は何も言えない。

「そういうわけじゃ」

「ああ。気にするな」

 三人に、男性が話しかけてきた。

「ちょっといいかな。そういう態度は、いただけないと思うのだが」

 その男性は、きっちりとしたスーツを着こなしていて、二十代後半に見える。

「いえ。ケンカじゃないので」

「ジャマだ。引っ込んでろ」

「おい。ミズチ。そういう言いかたは――」

「貴様らのような者がいるから、犯罪がなくならんのだ」

「なんだと」

 ミズチが食ってかかろうとしたところで、男性が話し出す。

「わたくしは、勇伊ゆういヒサノリ。検事だ」

「けんじ?」

「弁護士と戦ったりする、あれだ」

「ああ」

 納得した様子のアラタ。それを見たヒサノリは、思いもよらぬ行動に出た。

「では。カンサ・セプテン!」

 セプテンの武器は大剣。かといって、ほかのカンサより本体が大きいわけではない。普通に鎧姿だ。

 イマジン空間が広がっていく。カンサ使いとカンサをのぞいて、紫色で染まった。

「マジかよ」

「やるぞ。アラタ」

 カンサを知らないコハルがいるため、おおっぴらには戦いたくないアラタ。

 だが、そうも言っていられない状況のため、戦うことにしたようだ。

「カンサ・ジャニュ!」

「カンサ・フェブ!」

「また言ってる。監査って、なに?」

「いいから、静かにしてくれ」

 アラタが言った。

 大剣を剣で防ぎながら、ジャニュが近づく。

 そこを、一気にフェブが近づいて一太刀浴びせた。

「野蛮だな」

 ヒサノリの言葉を無視して、二人は攻撃を繰り出し続ける。

「む。時間か。では、この辺で失礼する」

 カンサをしまい、ヒサノリは去っていった。

 マモノはいない。アラタとミズチもカンサをしまい、イマジン空間が消えていく。

「なんなの一体」

 コハルは、やっぱり何も分かっていなかった。

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