第11話 岡山剣、鳥取剣、兵庫剣

「やって来ました! 桃!」

 ユリたちは岡山県にやって来た。

「で、普段なら桃を探す私だがマンネリ化してきたので、サイドチェンジをしたい!」

 きっとドラえもんやアンパンマンを作る人もお金のためでなけれ飽きているはず。また飽きた視聴者からすると見なくても良い作品に陥っているはず。何となく、若しくは他に見る物がない、暇で視聴率をつないでいるサザエさんはスゴイ。

「おまけにやって来ました! 梨!」

 ユリたちは岡山と鳥取の狭間にやって来た。岡山県の後楽園でもなく、鳥取県の鳥取砂丘でもない。

「智頭にしておこう。」

 岡山と鳥取だけでなく兵庫県とも県境。

「更にやって来ました! コロッケ!」

 ユリたちは兵庫県にもやって来れた。これで一度に3県を終わらせることができる。


「おまえたちの好き勝手にはさせないぞ!」 

 ユリたちの前に女の子たちが現れる。

「何者だ?」

 ユリは尋ねてみた。

「出たな! 狼藉者! 成敗してくれる! 岡山のアイドル候補生のメグミだ! くらえ! 岡山剣! 奥義! モモ!」

「鳥取県のアイドル候補生のアヤコだ! くらえ! 鳥取剣! 奥義! オシドリ!」

「兵庫県のアイドル候補生のケイコだ! くらえ! 兵庫剣! 奥義! コウノトリ!」

 現れたのは岡山、鳥取、兵庫のアイドル候補生たちだった。

「負けるもんか! 夢は絶対に諦めない! 必殺! 都道府剣4連撃!」

 応戦するユリ。

「やるな!」

「おまえたちこそ!」

 ユリたちはお互いを称え合う。


「そこまでだ! 私は世界征服を企む悪の軍団ジョーカーの妖怪の桃!」

「同じく妖怪の梨!」

「同じく妖怪のコロッケ!」

 現れたのは妖怪たちだった。

「くらえ! アイドル候補生たち! 妖怪3ボム・アタック!」

 妖怪3人で爆弾を投げまくる。

「ギャアアアアアアー!」

 ユリたちは爆弾で吹き飛ばされる。

「このままでは負けてしまう!?」

「ここは我々7人のアイドル候補生の力を一つに結集してピンチを脱出しよう!」

「おお!」

 新たにメグミ、アヤコ、ケイコが仲間に加わった。

「いくぞ! ジョーカー! これが私たちの必殺技! 都道府剣7連撃だ!」

 ユリたち7人のアイドル候補生のコンビネーション攻撃。

「ギャアアアアアアー! やられた!」

 妖怪たちを倒す。

「勝った! わ~い!」

 ユリたちは大喜び。

「それでは勝利の歌を歌います! 桃太郎! 桃が大好き桃太郎!」

「砂漠は底なし! 女の情念! 鳥取砂地獄!」

「西のオシャレな東京! 神戸です! 何か文句でもある?」

 歌はさまざまである。


「・・・・・・。」

 大嶽丸は無口。

「大嶽丸様! どうするんですか? あなたは中国地方のボスでしょ? もうアイドル候補生たちは兵庫県に入ったので置いて行かれましたよ!?」

 小神はガミガミうるさい。

「・・・・・・。」

 それでも何もしゃべれない大嶽丸の放送事故体質。

「もうやだ! 知らない!」

 小神は仕事を放棄した。


「次はたこ焼き決戦だ! 」

 ユリは大阪に向かうらしい。

「後のことは私に任せて。」

 ケイコが近畿地方でユリをサポートする。

「本当に大変よ。ユリの相手は。マジで・・・・・・。」

 大変さが身に染みている中国地方のアイドル候補生たち。

「死なない程度に頑張るわ。」

 死と隣り合わせのユリの相手。

「たこ焼きへ! テレポーテーション!」

 こうしてユリたちは大阪を目指すのであった。

 つづく。


 おまけ。

 魅力的な悪役を作ろう!

 といっても、それが主人公かライバルでなければ、人気のない既存の主人公をカバーするためなのだろう。ケケケの美化した猫娘、今時イケメン風の陰陽師。メンマの息子が人気がないのでイケメンぽい男の新キャラを主に出すとか。打ち切り前の苦肉の策である。制作サイドもマンネリ化しているので既存では飽きているのだろう。スポンサーのついている長寿アニメは同じことの繰り返しでも終われない。


「滅びてしまえばいい。こんな世界なんて。」

 少女は独り言を呟いた。

「ディーバが望むのなら。」

 誰もいない暗闇から声が聞こえてくる。

「え?」

 不思議に思うしかできない少女。

「あなたのために、私たちが世界を滅ぼします。」

 黒い人の様な者が複数現れる。

「あなたたちは!?」

 少女は黒い者を見ても普通に怖くはなかった。

「我々は悪意のマリシャス。あなたに、滅びの歌姫にお仕えする者です。」

 黒い者たちは自分たちは悪意だといい、更に少女のことも滅びの歌姫という。

「私が滅びの歌姫?」

 少女の趣味は歌を歌うこと。容姿も端麗で学力も優秀。スタイルも良い。親もお金持ち。何一つ落第点はない。

「はい。あなたがこの地球上の誰よりも世界が滅びることを願ったので選ばれました。」

 もっともな言い分をする黒い者。

「えっ!? 私が願ったのはお父さんやお母さんがいなくなったらいいなっとか、学校が無くなればいいのになっと思っただけよ!?」

 確かに少女は自分の身の回りの世界の滅びを願った。

「どうして100点じゃないのよ! あなたは私の娘なのよ!」

 99点のテストの答案に口うるさい母親。

「歌ばっか歌いやがって! なんだ? その目は? 反抗的なんだよ!」

 気分次第で暴力を奮う父親。

「ムカつく! ちょっとカワイイ顔しているからって!」

「お金持ちに生まれたから調子に乗ってるのよ!」

「死ねばいいの! みんなでいじめましょよ! ケッケッケッ!」

 他人のことを悪く言うしかできない性格の悪い者が多い学校。少女は両親も学校も嫌いだった。

「承知しました。」

 黒い者の何人かが少女の前から立ち去る。

「消えた!? どこに行ったの!?」

 少女は目の前から黒い物が何人か消えたことに驚く。

「あなたの願いを叶えに行きました。」

 行先は少女の願い。

「私の願い?」

 少女は何かを願ったという実感はない。

「・・・・・・。」

 少女は自分が何を願っていたかを考えた。

「ハアッ!? まさか!?」

 そして自分が何を願っていたか思い出した。

「願いを叶えました。」

 黒い者たちが帰ってきた。手に少女の両親と学校のいじめっ子たちの首を持って。

「キャアアアアアアー! お父さん! お母さん!」

 少女は両親の首を見て驚いた。もちろん情の無い学校の生徒たちのことは何とも思わない。

「酷い! どうしてこんなことをするの?」

 少女は感情的に問いかける。

「私たちはあなたの願いを叶えただけです。あなたが願ったことを叶えるために私たちがいるのですから。」

 黒い者たちは少女の願いを叶えただけで人の死に微動だにしない。

「私がお父さんとお母さんを殺してしまったの? 私が願ったから? 私が願わなければ良かったの? 私が両親を殺してしまったの!?」

 しかし、純粋で綺麗なものほど一つの汚れに弱い。

「キャアアアアアアー!」

 もちろん少女は両親を自分が殺してしまったと発狂した。

「いいでしょう。滅ぼしましょう。世界を。」

 この瞬間、少女は大人の階段を上った。

 つづく。


兵庫剣 ケイコ コウノトリ

鳥取剣 アヤコ オシドリ

岡山剣 メグミ モモ

広島剣 ハルカ モミジ

島根剣 ミサコ ハクチョウ

山口剣 トモミ アカマツ

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